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【適応追加】4価HPVワクチン(ガーダシル)
4価HPVワクチン、肛門癌の適応追加と男性への接種対象拡大

2021/01/22
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年12月25日、酵母由来の組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(商品名ガーダシル水性懸濁筋注シリンジ)の適応が追加された。追加された適応は、性別を問わず「ヒトパピローマウイルス6、11、16および18型の感染に起因する肛門癌(扁平上皮癌)およびその前駆病変(肛門上皮内腫瘍[AIN]1、2および3)」である。また、接種対象が拡大され、男性における「尖圭コンジローマ」の適応も追加された。用法用量は「9歳以上の者に1回0.5mLを合計3回筋肉内注射。通常、2回目は初回接種の2カ月後、3回目は6カ月後に同様の用法で接種する」となっている。

 従来、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸癌などに対するワクチンとして2価HPVワクチンのサーバリックスと、4価HPVワクチンの本薬が女性を対象に臨床使用されている。さらに、2020年7月には9価HPVワクチンのシルガード9が承認されている。

 今回適応追加となった肛門癌は国内ではまれな癌だが、2017年には1086人(男性:540人、女性:546人)が新たに罹患し、罹患率は10万人当たり0.3人、死亡者数は441人(男性:214人、女性:227人)、全ての癌種による死亡の0.1%と報告されている。肛門癌には扁平上皮癌や腺癌などいくつかの組織型があるが、肛門癌の扁平上皮癌は、その約80~90%にHPV感染が関与しているとされ、HPV感染から持続感染、前駆病変を経て発症する。このことから、HPVワクチンの肛門癌への予防効果が期待されていた。

 また、男性にもHPVワクチンが使用可能となったことで既適応の尖圭コンジローマへの予防効果も合わせて期待されている。尖圭コンジローマは、HPV感染により肛門や性器周辺部に発症する乳頭状、鶏冠状またはカリフラワー状の疣贅であり、男女問わず罹患する。

 肛門癌およびその前駆病変(男性および女性)/尖圭コンジローマ(男性)の予防に関して、国内外での複数の第3相臨床試験から本薬の有効性および安全性が検証された。海外では、2020年12月現在、男性への適応で世界100以上の国または地域で承認されている。

 本薬接種での副反応として、注射部位疼痛(67.8%)、注射部位紅斑および注射部位腫脹(各10%以上)などが認められている。重大な副反応としては、過敏症反応(蕁麻疹[0.4%]、アナフィラキシー、気管支痙攣など)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳髄膜炎(ADEM)を生じる可能性もある。

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