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【新薬】トラマドール(ツートラム)
慢性疼痛治療に1日2回投与のオピオイド鎮痛薬登場

2020/12/25
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年11月25日、慢性疼痛治療薬トラマドール塩酸塩(商品名ツートラム錠50mg、同錠100mg、同錠150mg)が薬価収載された。本薬は9月25日に製造販売が承認され、2021年1月8日に発売が予定されている。適応は「非オピオイド鎮痛薬で治療困難な慢性疼痛における鎮痛」、用法用量は「1日100~300mgを2回に分けて投与。ただし、1回200mg、1日400mgを超えないこと」となっている。

 慢性疼痛は、「治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛み」と定義されており、慢性疼痛の要因別分類として侵害受容体性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛などに大別されているが、これらの要因が複雑に絡んだ混合性疼痛になることも多い。

 トラマドールを主な有効成分とする内服薬としては、1日4回投与の速放性製剤(トラマール)、1日1回投与の徐放性製剤(ワントラム)、アセトアミノフェン配合製剤(トラムセット他)が臨床使用されている。

 ツートラムは国内初となる1日2回投与のトラマドールの内服薬で、上層の速放部と下層の徐放部から成る二重構造のフィルムコーティング製剤である。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で検討され、承認に至った。

 既存の徐放性製剤と比較して最高血中濃度到達時間(tmax)が短縮し、血中半減期(t1/2)は速放性製剤よりも長い傾向が認められたことから、徐放性製剤よりも速やかに最高血中濃度(Cmax)へ到達し、かつ速放性製剤よりも血中濃度の持続が期待できる薬物動態学的特性を有している。また、慢性疼痛治療で汎用されているプレガバリン(リリカ他)やセレコキシブ(セレコックス他)等は1日2回投与の薬剤であり、本薬と1日投与回数が同じであることから、併用時の服薬アドヒアランスの向上が期待できる。

 非オピオイド鎮痛薬で十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛患者を対象とした2つの国内第3相試験(対象疾患:変形性膝関節症、帯状疱疹後神経痛)、および慢性疼痛(腰痛症、変形性膝関節症、関節リウマチ、脊柱管狭窄症、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、線維筋痛症、複合性局所疼痛症候群による)に対する最長52週間の長期投与試験において、既存治療で効果不十分な症例に対して有効性および本薬の安全性が検証された。

 副作用としては、悪心(43.9%)、便秘(41.1%)、傾眠(21.4%)、嘔吐(15.1%)、浮動性めまい(10.8%)などが報告されている。重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー、呼吸抑制、痙攣、依存性、意識消失を生じる可能性がある。

 同じ有効成分を有する1日4回投与の速放性製剤および1日1回投与の徐放性製剤と異なり、本薬は癌性疼痛には適応が無く、慢性疼痛のみの適応となることに留意する必要がある。

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