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【新薬】末梢静脈栄養輸液(エネフリード)
脂肪・水溶性ビタミンも配合した国内初の末梢静脈栄養輸液

2020/12/18
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年12月15日、末梢静脈栄養輸液(商品名エネフリード輸液)が発売された。本製剤は9月25日に製造販売が承認され、11月25日に薬価収載されていた。適応は「次の状態時のアミノ酸、電解質、カロリー、脂肪酸、水溶性ビタミンおよび水分の補給。(1)経口摂取不十分で、軽度の低蛋白血症または軽度の低栄養状態にある場合、(2)手術前後──」、用法用量は「通常、成人に1回550mLを末梢静脈内に点滴静注。投与速度は550mL当たり120分を基準とする。なお、症状、年齢、体重に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日2200mLまで」となっている。

 末梢静脈栄養法(PPN;peripheral parenteral nutrition)は、経口摂取不十分で軽度の低蛋白血症または軽度の低栄養状態にある患者に対して、短期間(2週間以内)あるいは補助的な栄養補給を目的として末梢静脈から水分および栄養素を補給する栄養法で、各診療科領域で広く実施されている。PPNに使用される輸液製剤(PPN製剤)には、主にブドウ糖、電解質、アミノ酸を含む製剤が使用されており、ビタミンB1欠乏によるアシドーシスやウェルニッケ脳症の発症回避のためにビタミンB1を配合した製剤(ビーフリードパレセーフ)や水溶性ビタミン9種類を配合した製剤(パレプラス)も使用されている。

 末梢から投与できるカロリーには上限があるため、PPNが適応となる患者では、PPN製剤を主な栄養源として用いるにはカロリーが十分とはいえない。そのため、臨床現場では約9kcal/gの高エネルギー源であり、かつ必須脂肪酸の供給源となる静注用脂肪乳剤(イントラリポス)を併用投与する方法が広く用いられている。一方で、脂肪乳剤は十分な代謝を得るためには緩徐に投与する必要がある。また、配合変化や細菌汚染防止の観点から、他剤との混合は禁忌とされており、他の輸液剤と併用するには専用の投与経路を確保するか、側注デバイスを選択するなど、使用に当たって注意を要する薬剤である。

 エネフリードは、ブドウ糖、電解質、アミノ酸に加えて脂肪および水溶性ビタミン9種類(B1、B2、B6、B12、ニコチン酸アミド、パンテノール、葉酸、ビオチンおよびC)をダブルバッグに一剤化した日本初となるPPN用キット製剤である。末梢静脈から1日の最大投与量である2200mL投与することで、アミノ酸、ブドウ糖、電解質、脂肪、水溶性ビタミンおよび水分の1日維持必要量と安静時消費エネルギー量に相当する1240kcalのカロリー補給が可能となっている。

 消化器術後患者を対象とした国内第3相試験(対照薬:既存のビタミンB1含有のPPN製剤と脂肪乳剤との組み合わせ)において、本製剤の有効性および安全性が確認された。

 副作用として、肝機能異常、注射部位静脈炎(各5%以上)などが認められており、重大な副作用として、静脈塞栓、ショック、アナフィラキシーを生じる可能性もある。

 また、用法および用量に関連する注意として「本製剤の投与は、原則として2週間までとすること。ただし、漫然と2週間投与せず、栄養必要量および末梢静脈の状態などを確認し、中心静脈栄養法ないし経口・経腸管栄養への移行を考慮すること」が挙げられていることに留意する。

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