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【新薬】セツキシマブ サロタロカン(アキャルックス)
頭頚部癌を治療する世界初の光免疫療法用薬

2020/12/11
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年11月18日、抗悪性腫瘍薬セツキシマブ サロタロカンナトリウム(商品名アキャルックス点滴静注250mg)が薬価収載された。本薬は9月25日に製造販売が承認されていた。適応は「切除不能な局所進行または局所再発の頭頚部癌」、用法用量は「成人、1日1回640mg/m2(体表面積)を2時間以上かけて点滴静注。点滴静注終了20~28時間後にレーザ光を病巣部位に照射」となっている。

 国内ガイドラインでは一般的に頭頚部癌(口腔癌、上顎洞癌、咽頭癌、喉頭癌、甲状腺癌、唾液腺癌など)の根本治療は主に外科療法と放射線治療であり、局所進行症例などにおいては治癒や機能形態温存を目指した癌薬物療法が行われている。癌薬物療法には、根本治療の前に行われる導入化学療法、後に行われる補助化学療法、放射線治療と同時に行う化学放射線療法があり、シスプラチン(ランダ他)などのプラチナ製剤を中心に、ドセタキセル(タキソテール他)などのタキサン類の薬剤やフルオロウラシル(5-FU他)を併用するレジメンが用いられている。近年、抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する抗EGFR抗体セツキシマブ(アービタックス)や免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体ニボルマブ(オプジーボ)などの癌分子標的薬、さらに2020年5月よりホウ素中性子捕捉療法(BNCT)としてボロファラン(10B)(ステボロニン)が臨床使用されるようになり、治療効果が向上してきた。

 アキャルックスは、抗EGFR抗体セツキシマブと光感受性物質のフタロシアニン誘導体色素IR700を結合させた抗体-光感受性物質複合体。頭頚部癌における本治療は、アキャルックスと医療機器BioBladeレーザシステムを併用する世界初の新しい局所療法である。本治療の詳細な作用機序は解明されていないものの、アキャルックスが腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合し、波長690nmのレーザ光照射により励起されたIR700が光化学反応を起こして、腫瘍細胞の細胞膜を傷害することにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。

 切除不能な局所再発の頭頚部扁平上皮癌患者を対象とした2つの臨床試験( 国内第1相試験、海外第1相/2a相試験)において、本治療の有効性および安全性が検証された。アキャルックスは2020年9月現在、海外では発売されていない。国内では、先駆け審査指定制度および条件付き早期承認制度の下で承認された。

 副作用として適用部位疼痛(20%以上)などが報告されている。重大な副作用としては、舌腫脹(13.9%)、腫瘍出血、咽頭浮腫(各5.6%)、Infusion reaction(2.8%)が認められており、頸動脈出血、重度の皮膚障を生じる可能性もある。重要な基本的注意として、頸動脈出血や腫瘍出血が現れる可能性があることに対し、本薬投与前に頸動脈・静脈などへの腫瘍浸潤の有無を十分確認するとともに、治療中は患者の状態や頸動脈、腫瘍からの出血の有無を十分に行うこととなっている。

 なお、本薬の承認条件として下記の事項が明記されていることに留意する。
・治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施すること
・実施中の第Ⅲ相試験(対象:切除不能な局所再発の頭頚部癌患者)での本治療の有効性および安全性について、医療現場に適切に情報提供すること
・本治療についての講習を受け、当該治療法に関する十分な知識・経験のある医師のみ使用すること

 また、用法に関して下記の事項が明記されている。
・本薬とともに癌を標的として使用することを目的として承認されたPDT半導体レーザ(Photodynamic Therapy用半導体レーザ)を使用しレーザ光照射を行うこと。レーザ光照射の条件などについては当該医療機器(BioBladeレーザシステム)の添付文書を参照すること

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