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【新薬】パリペリドン(ゼプリオンTRI)
統合失調症治療薬に12週間隔投与製剤が登場

2020/11/27
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年11月18日、抗精神病薬パリペリドンパルミチン酸エステル(商品名ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ、同水懸筋注263mgシリンジ、同水懸筋注350mgシリンジ、同水懸筋注525mgシリンジ)が薬価収載と同時に発売された。本薬は9月25日に製造販売が承認されていた。適応は「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)」、用法用量は「パリペリドン4週間隔筋注製剤が4カ月以上継続して投与され、適切な治療が行われている患者に対して最終投与の4週間後から切り替えて使用する。通常、成人にパリペリドン4週間隔筋注製剤最終投与量の3.5倍量を、12週間に1回、三角筋または臀部筋に筋注」となっている。同一有効成分として既に経口製剤(インヴェガ)、4週間隔投与の筋注製剤(ゼプリオン水懸筋注)が統合失調症治療に臨床使用されている。

 統合失調症は、難治性の慢性精神疾患であり、幻覚や妄想などの陽性症状や、感情の鈍麻や会話の乏しさなどの陰性症状、認知障害などが認められる。統合失調症は思春期から成人期にかけて好発する疾患であり、日本における患者数は約80万人と推定されている。統合失調症の治療では、初発時や急性期の症状緩和以外に、維持期の精神症状の再発・再燃予防、患者のQOL向上が目標となる。

 治療の中心となる薬物療法では、有効性や安全性の観点から、ハロペリドール(セレネース他)などの定型抗精神病薬よりもリスペリドン(リスパダール他)などの非定型抗精神病薬を第一選択で使用することが、国内外のガイドラインで推奨されている。統合失調症の治療は長期にわたることが多く、患者が治療に前向きになり服薬アドヒアランスを向上させることが、治療において最も重要なこととされている。さらに、再発予防には服薬継続が明らかに有効であることから、国内のガイドラインでは、継続が難しい患者に対して持効性注射薬の使用が選択肢の一つになるとされている。

 現在、統合失調症治療に使用されている非定型抗精神薬の持効性注射薬としては、2週間隔投与のリスペリドン(リスパダールコンスタ筋注)および4週間隔投与のパリペリドン(ゼプリオン水懸筋注)といったセロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)、4週間隔投与のアリピプラゾール(エビリファイ持続性水懸筋注)といったドパミン受容体部分作動薬(DPA)が使用されている。

 ゼプリオンTRIは、既存の4週間隔投与のゼプリオン水懸筋注を製剤学的に変更し、薬物の放出持続時間を延長することで持効性を高めた12週間隔投与の持効性注射薬。有効成分パリペリドンはSDAリスペリドンの活性代謝物で、ドパミンD2受容体拮抗作用およびセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用に基づく中枢神経の調節作用により統合失調症を治療する。

 パリペリドンの既存の4週間隔筋注製剤で症状が安定した成人(18~70歳)の統合失調症患者を対象とした国際共同第3相試験で、既存筋注製剤に対する本薬の非劣性が検証された。海外では、2015年米国で承認されて以来、2020年5月現在、世界約80の国と地域で承認されている。

 副作用としては、不安、統合失調症の悪化、アカシジア、振戦、ALT増加、筋固縮、無月経、不規則月経、注射部位硬結、注射部位疼痛、注射部位腫脹、体重増加、体重減少(各1%以上)などが認められている。重大な副作用としては、遅発性ジスキネジア(0.2%)、肝機能障害(0.6%)、高血糖(0.2%)、白血球減少(0.4%)などが報告されており、悪性症候群、麻痺性イレウス、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、黄疸、横紋筋融解症、不整脈、脳血管障害、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖、無顆粒球症、肺塞栓症、深部静脈血栓症、持続勃起症、アナフィラキシーを生じる可能性がある。

 既存の4週間隔筋注製剤で複数の死亡症例が報告されていることから、厚生労働省は「4週間隔筋注製剤が適正に使用されていること、および本薬投与後には副作用の発現に注意し、次回投与までの間も患者の状態を十分観察すること」を医療機関などに呼び掛けている。

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