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【新薬】フィルゴチニブ(ジセレカ)
関節リウマチを治療する5番目のJAK阻害薬

2020/11/20
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年11月18日、関節リウマチ治療薬フィルゴチニブマレイン酸塩(商品名ジセレカ錠100mg、同錠200mg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は9月25日に製造販売が承認されていた。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」、用法用量は「1日1回200mgを経口投与。なお、患者の状態に応じ1日1回100mg投与も可能」となっている。

 関節リウマチRA)は慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約60~100万人、世界には2000万人以上の患者がいると推定されている。RAは手と足にその症状が現れることが典型的であるが、滑膜のある関節では発症する可能性がある。

 RAの薬物治療として、従来から非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドなどによる対症療法が行われてきた。近年、初期段階からメトトレキサート(MTX)をはじめとする疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が使用されるようになった。さらに、これらの治療で効果不十分な患者には、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)、ウパダシチニブ(リンヴォック)、ヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体のアダリムマブ(ヒュミラ)などのTNFα阻害薬、ヒト化抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体のトシリズマブ(アクテムラ)などのIL-6阻害薬などが使用されてきた。

 フィルゴチニブは、トファシチニブなどと同じJAK阻害薬で5剤目となる。JAKは、RAにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、フィルゴチニブは細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種であるJAKを阻害することで炎症を抑制する。JAKには、4種類のサブタイプ(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)があり、サイトカイン受容体ごとに異なる種類のJAKが会合している。フィルゴチニブはJAKサブタイプの中でも特にJAK1に選択的に結合することで、細胞内のシグナル伝達経路を阻害し、抗炎症作用を発揮する。

 既存の治療薬で効果不十分な中等度~重度のRA患者を対象とした2つの国際共同第3相試験および、MTX未治療の中等度~重度のRA患者を対象とした国際共同第3相試験において本薬の有効性と安全性が確認された。

 承認時までの国内外の臨床試験から、副作用として、尿路感染、上気道感染、浮動性めまい、悪心(各1%以上10%未満)などが報告されている。重大な副作用としては、ALT上昇(0.8%)・AST上昇(0.7%)などの肝機能障害、帯状疱疹(0.2%)・肺炎(0.3%)などの感染症、好中球減少(0.1%)、リンパ球減少(0.1%未満)などが認められている。また、消化管穿孔、ヘモグロビン減少、間質性肺炎、静脈血栓塞栓症を生じる可能性もある。

 既存のJAK阻害薬と同様に、薬剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤で致命的な感染症の発現または悪化が報告されていることから、患者の状態を十分観察を行うなど注意しなければならない。また、免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増大する可能性があることから、TNFα阻害薬やIL-6阻害薬などの抗リウマチ生物製剤、タクロリムス(プログラフ他)などの強力な免疫抑制薬(局所製剤以外)とは併用はしないこと。

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