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【新薬】ミダゾラム口腔用液(ブコラム)
てんかん重積状態に対する初の頬粘膜投与薬

2020/11/13
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年9月25日、抗けいれん薬ミダゾラム口腔用液(商品名ブコラム口腔用液2.5mg、同口腔用液5mg、同口腔用液7.5mg、同口腔用液10mg)の製造販売が承認された。本薬は11月18日に薬価収載される。適応は「てんかん重積状態」、用法用量は「通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満:1回2.5mg、1歳以上5歳未満:1回5mg、5歳以上10歳未満:1回7.5mg、10歳以上18歳未満:1回10mg、いずれも頬粘膜投与」となっている。

 てんかん重積状態とは、「発作がある程度の長さ以上に続くか、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」(国際抗てんかん連盟)と定義されている。発作が5分以上持続する場合には、後遺障害を残す可能性があることから、速やかな治療を開始する必要がある。初発てんかん重積状態の年間発症率は小児人口10万人当たり42人で、日本の0~17歳人口から推計すると、年間約8000人の初発てんかん重積患者が存在すると推定されている。

 国内では、「てんかん重積状態」に適応を有する薬剤としてフェノバルビタール(ノーベルバール)、ホスフェニトイン(ホストイン)、ロラゼパム(ロラピタ)、ミダゾラム(ミダフレッサ)があるが、いずれも注射薬である。海外では、ミダゾラムの頬粘膜投与のプレフィルドシリンジ製剤(Buccolam)が医療機関外でも小児に対する非静脈経路の薬剤として広く使用されており、米国てんかん学会ならびに英国NICEガイドラインでは小児てんかん重積状態初期治療の推奨薬剤の1つとして位置付けられている。国内のてんかん診療ガイドライン2018では、てんかん重積状態に対する薬物治療で静脈がまだ確保できない場合の治療としてジアゼパム注射液の注腸や、小児の場合、ミダゾラム注射液の鼻腔・口腔内投与・筋注が有効(保険適用外)としている。

 ミダゾラムは、脳内における重要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の作用を亢進することで、てんかんに対して作用を発揮する。具体的には、神経細胞のシナプス後膜上に存在するGABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABAA受容体とGABAの親和性を増加させると考えられている。

 本薬は非静脈経路で投与可能な頬粘膜投与用のプレフィルドシリンジ製剤で、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で高い評価を経て、早期承認に向けて開発が進められた。

 けいれん性てんかん重積状態を有する修正在胎52週以上18歳未満かつ体重5kg超の日本人患者を対象とした2つの国内第3相臨床試験(医療機関内投与、医療機関外投与)にて本薬の有効性および安全性が検証された。海外では英国、欧州を中心に、2020年9月現在、世界33ヵ国で承認されている。

 副作用として、鎮静、傾眠、悪心、嘔吐(各1~10%)が認められており、重大な副作用として、無呼吸、呼吸困難、呼吸停止などの呼吸抑制(4.0%)が報告されている。

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