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【新薬】ソフピロニウム(エクロックゲル)
原発性腋窩多汗症を治療する国内初の外用薬

2020/11/06
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年9月25日、原発性腋窩多汗症治療薬ソフピロニウム臭化物(商品名エクロックゲル5%)の製造販売が承認された。適応は「原発性腋窩多汗症」、用法用量は「1日1回、適量を腋窩に塗布」となっている。

 原発性局所多汗症は、日常生活に支障を来すほどの大量の発汗が生じる疾患と定義されており、症状が腋窩に現れる場合を原発性腋窩多汗症という。原発性腋窩多汗症は、温熱や精神的負荷の有無にかかわらず腋窩に大量の発汗を生じ、衣服の選択が制限される、頻繁な衣服の交換やシャワーが必要になるなど、患者の日常生活に支障を来す疾患である。患者は多汗を恥ずかしいと感じ、精神的苦痛を受けることも多く、対人関係に支障を来すことや労働生産性が低下することも示唆されている。

 多汗症の原因となる汗はエクリン汗腺から分泌される。エクリン汗腺は交感神経により調節されており、アセチルコリンがエクリン汗腺のムスカリン受容体サブタイプ3(M3)を刺激することにより発汗を誘発すると考えられている。

 原発性局所多汗症診療ガイドラインでは、治療の第1選択は塩化アルミニウム溶液の外用療法であるが、保険適応のある外用薬はなく、院内製剤として処方されているのが現状である。第2選択としては、抗コリン作用を有するA型ボツリヌス毒素(ボトックス)の局注療法が「重度の原発性腋窩多汗症」に保険適応されている。その他の治療法として、胸腔鏡下胸部交感神経遮断術などの手術療法、抗コリン薬プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン)の内服療法などがあるが、いずれも患者への負担や全身性の副作用などが懸念されるため、新しい治療法が求められていた。

 ソフピロニウム臭化物は抗コリン作用を有する外用薬で、エクリン汗腺のM3に結合することで発汗シグナル伝達を阻害する。抗コリン薬の内服療法より全身性の副作用の発現リスクも少なく、A型ボツリヌス毒素の局所療法や手術療法などに比べて侵襲性も低い。さらに、塗布具(アプリケーター)により薬液に触れずに患部に塗布できるなど患者の利便性においても有用性が期待されている。

 国内第3相比較試験において、発汗重量および自覚症状の指標とした多汗症疾患重症度評価尺度が比較され、基剤群よりも有意に改善した。さらに、その後52週間の第3相長期投与試験でも本薬の有効性および安全性が確認された。

 副作用として、皮膚炎(6.4%)、紅斑(5.7%)、そう痒感、湿疹、口喝(各1%以上)などが報告されている。また、薬剤使用に際して、患者向けに本薬の取扱説明書があるので患者への指導などに使用するとよい。

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