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【新薬】エナロデュスタット(エナロイ)
腎性貧血を治療する4番目のHIF-PH阻害薬

2020/10/30
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年9月25日、腎性貧血治療薬エナロデュスタット(商品名エナロイ錠2mg、同錠4mg)の製造販売が承認された。適応は「腎性貧血」、用法用量は「保存期慢性腎臓病患者および腹膜透析患者の場合1回2mgを、血液透析患者の場合1回4mgを開始用量とし、1日1回食前または就寝前に経口投与。以降は患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1日1回8mgまで」となっている。

 腎性貧血は、慢性腎臓病(CKD)の早期から認められる代表的な合併症であり、腎での内因性エリスロポエチン(EPO)産生が低下し、栄養低下、鉄欠乏、出血傾向、赤血球寿命短縮などと相まって引き起こされる。腎性貧血は末期腎不全への病態進行を早め、また心不全の独立した増悪因子であることから、早期発見・治療による生命予後の改善が期待されている。

 従来、腎性貧血の治療としてはエポエチンアルファ(エスポー他)などの赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が中心的治療薬として使用されていたが、注射薬であるため感染症リスクや患者の身体的負担が大きく、さらにESAによる抗EPO抗体陽性赤芽球癆が発現することが問題となっていた。

 エナロデュスタットは、ロキサデュスタット(エベレンゾ)、ダプロデュスタット(ダーブロック)、バダデュスタット(バフセオ)に次ぐ4剤目のHIF-PH阻害薬である。HIF-PH阻害薬は低酸素誘導因子(HIF)の調節酵素HIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害することで、転写因子であるHIF-αの分解を抑制し、HIF経路を活性化させる。その結果、生体が低酸素状態に曝露された際に生じる赤血球造血反応と同様に、正常酸素状態でも赤血球造血が刺激され、貧血が改善すると考えられている。

 1剤目のHIF-PH阻害薬であるロキサデュスタットの適応が「透析施行中の腎性貧血」に限定されているのに対し、今回承認されたエナロデュスタットは、バダデュスタットおよびダプロデュスタットと同様に透析期のみならず保存期CKD患者の腎性貧血にも使用可能となっている。

 保存期CKD患者、腹膜透析患者、ESA使用の血液透析患者、ESA未使用の血液透析患者をそれぞれ対象とした6つの国内第3相試験(MBA4-1~6試験)において本薬の有効性および安全性が確認された。

 副作用(臨床検査値異常を含む)として、高血圧(1%以上)などが認められ、重大な副作用としては深部静脈血栓症(0.2%)、肺塞栓症(0.1%)、脳幹梗塞(0.1%)などの血栓塞栓症(0.7%)が報告されている。

 薬剤使用に際しては、日本腎臓学会から「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation(2020年9月29日版)」が公表されているので事前に熟読するとともに、特に下記の事項に留意する。
・腹膜透析と血液透析患者では開始用量が異なる。
・既存の薬剤と同様にESA未治療の場合の本薬投与開始の目安は、保存期CKD患者および腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度11g/dL未満、血液透析患者ではHb濃度10g/dL未満とする。

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