日経メディカルのロゴ画像

【新薬】インダカテロール/グリコピロニウム/モメタゾン(エナジア)
国内初、気管支喘息を治療する3剤配合吸入薬

2020/09/11
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年8月26日、気管支喘息治療吸入配合製剤インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名エナジア吸入用カプセル中用量、同吸入用カプセル高用量)が薬価収載と同時に発売された。本薬は6月29日に製造販売が承認されていた。適応は「気管支喘息(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入β2刺激薬および長時間作用性吸入抗コリン薬の併用が必要な場合)」、用法・用量は「成人、中用量カプセル1回1カプセルを1日1回、症状に応じて高用量カプセルを1日1回専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)で吸入」となっている。1カプセル中にインダカテロール(IA)150μg、グリコピロニウム(GP)50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステル(MF、中用量:80μg、高用量:160μg)を含有している。なお、本薬の成分のIAとMFを含有した気管支喘息治療吸入配合製剤(アテキュラ吸入用カプセル低用量、同吸入用カプセル中用量、同吸入用カプセル高用量)も同時に発売された。

 気管支喘息は、「気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患」と定義されている。喘息治療は、吸入薬を用いた薬物治療が基本となり、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)やドライパウダー吸入器(DPI)などが用いられている。基本治療薬としては、抗炎症作用を有する吸入ステロイド薬(ICS)が推奨され、重症度に応じて長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)などを併用する。

 現在、ICS/LABA配合製剤としては5製剤(pMDI:アドエアフルティフォーム、DPI:アドエアシムビコートレルベア)が臨床使用されている。ICS/LABA製剤でコントロール不十分な場合に、気管支拡張作用を有するLAMAを追加することが推奨されているがICS/LABA/LAMA配合製剤(テリルジービレーズトリ)の適応は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のみで、気管支喘息に適応を有する3剤配合製剤は上市されていなかった。また、2剤または3剤併用する場合、1日複数回の吸入や吸入器の使い分けなどの必要があり、服薬アドヒアランスの低下が課題となっている。

 エナジアは、国内初となる気管支喘息に適応を有するICS/LABA/LAMA配合製剤である。専用のドライパウダー吸入器を用いた1日1回の吸入薬であることから、服薬アドヒアランスや患者の利便性の向上が期待される。

 中用量~高用量ICS/LABAでコントロールが不十分で、過去1年以内の喘息増悪歴を有する成人気管支喘息患者(日本人を含む)を対象とした52週間の国際共同第3相試験(2302試験)で、本薬の有効性と安全性が確認された。海外では2020年8月現在、カナダ、欧州で承認されている。

 主な副作用としては発声障害(8.7%)などが認められており、重大な副作用として、アナフィラキシー、重篤な血清カリウム値の低下、心房細動を生じる可能性がある。

 薬剤使用に際して、本薬は喘息の急性症状を速やかに軽減する薬剤ではないため、以下の事項について患者に十分指導する。
・1日1回、時間を問わず一定の時間帯に吸入する
・吸入できなかった場合には、可能な限り速やかに1回分を吸入する

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ