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【新薬】チルドラキズマブ(イルミア)
乾癬を治療する抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体に新たな選択肢

2020/08/14
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年6月29日、乾癬治療薬チルドラキズマブ(商品名イルミア皮下注100mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬」、用法用量は「1回100mgを初回、4週後、以降12週間間隔で皮下投与」となっている。

 乾癬は鱗屑を伴った紅斑を特徴とする非伝染性の慢性再発性炎症疾患である。青年期から中年期に好発し、多くの患者が皮膚以外に症状を伴わない尋常性乾癬である。一方、罹患患者は少ないが、全身の関節に炎症などが生じる関節症性乾癬、全身性の無菌性膿疱および発熱などの全身症状を伴う膿疱性乾癬、全身性の皮疹、びまん性の潮紅および落屑を伴う感染性紅皮症などもある。

 乾癬治療において、従来ステロイド外用療法や紫外線療法、内服の免疫抑制薬であるシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル他)、レチノイド製剤であるエトレチナート(チガソン)などの全身療法が行われてきた。さらに近年、抗体療法も可能となり、抗TNFα抗体の皮下注射製剤アダリムマブ(ヒュミラ)および点滴静注製剤インフリキシマブ(レミケード他)、抗インターロイキン(IL)-12/23p40抗体の皮下注製剤ウステキヌマブ(ステラーラ)、抗IL-17A抗体の皮下注製剤セクキヌマブ(コセンティクス)およびイキセキズマブ(トルツ)、抗IL-17受容体A抗体の皮下注製剤ブロダルマブ(ルミセフ)、抗IL-23p19モノクローナル抗体の皮下注製剤グセルクマブ(トレムフィア)、リサンキズマブ(スキリージ)が使用されるなど、治療選択肢が広がっている。

 乾癬は正常の約30倍にも及ぶ表皮細胞の異常増殖亢進を特徴とする疾患であり、その病態にはT細胞が重要な役割を担っていると考えられている。中でもヘルパーT細胞(Th1)およびヘルパーT細胞17(Th17)の関与が重要とされている。いずれもCD4陽性ナイーブT細胞から分化誘導され活性化され、IL-12がCD4陽性ナイーブT細胞のTh1への分化に関与し、IL-23はTh17の活性化を促すとされている。

 チルドラキズマブは、IL-23のp19サブユニットと結合することで、IL-23を介した生物学的作用を抑制するヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体である。既存のグセルクマブ、リサンキズマブに次ぐ製剤となるが、初回および4週間後の投与以降は12週間隔と投与頻度が少ないのが特徴である(グセルクマブは8週間隔、リサンキズマブは12週間隔)。

 中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者を対象とした国際共同第3相試験(日本人患者を含む)および海外第3相臨床試験において、本薬の有効性および安全性が確認された。

 承認時までの臨床試験から、副作用として上気道感染、ALT増加(各1~5%未満)などが認められており、重大なものとしてはウイルスおよび細菌による重篤な感染症(0.2%)が報告されている。アナフィラキシーなどの重篤な過敏症を生じる可能性もあるので十分注意する。

 薬剤使用に際しては、既存のグセルクマブおよびリサンキズマブの適応(「尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」、グセルクマブには「掌蹠膿疱症」も)と異なり適応が「尋常性乾癬」のみとなっていることに留意する。

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