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【新薬】セマグルチド 経口薬(リベルサス)
GLP-1受容体作動薬に初の経口薬が登場

2020/08/07
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年6月29日、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドの経口薬(商品名リベルサス錠3mg、同錠7mg、同錠14mg)の製造販売が承認された。適応は「2型糖尿病」、用法用量は「1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。患者の状態に応じて適宜増減するが、1日1回7mgを維持量として4週間以上投与しても効果不十分な場合は、1日1回14mgに増量することも可能」となっている。

 生体の血糖降下メカニズムにはインスリン以外に、食事の摂取に伴い消化管から分泌される「インクレチン」というホルモンの関与があり、血糖依存的にインスリン分泌を増強することが知られている。代表的なインクレチンであるGLP-1は、小腸下部のL細胞から分泌され、膵β細胞でインスリン分泌を促進し、膵α細胞でグルカゴン分泌を抑制する。また、中枢では摂食抑制ホルモンとしても作用する。

 近年、インクレチンに関連した作用機序をもつ糖尿病治療薬(いわゆるインクレチン関連薬)が開発されており、インクレチンの分解酵素(dipeptidyl peptidase-4;DPP-4)の選択的阻害作用を有する「DPP-4阻害薬」や、GLP-1の受容体に作用する「GLP-1受容体作動薬」が臨床使用されている。

 GLP-1受容体作動薬は作用持続時間から、連日投与の短時間作用型(血中消失半減期:2~5時間)と週1回投与の長時間作用型(血中消失半減期:12時間~数日)に分類されている。週1回投与が可能な持続性GLP-1受容体作動薬として、エキセナチド(ビデュリオン)、デュラグルチド(トルリシティ)、セマグルチド(オゼンピック)といった注射薬が臨床使用されている。

 ペプチドであるGLP-1受容体作動薬は経口投与しても消化酵素によって分解されてしまい吸収できないことから、これまでは注射薬を主としていた。今回承認されたリベルサスは、吸収促進剤であるサルカプロザートナトリウム(SNAC)を添加することで胃からの吸収が可能となった国内初の経口GLP-1受容体作動薬である。本薬はセマグルチドが主に吸収される胃内で崩壊する。SNACが持つ局所でのpH緩衝作用によりセマグルチドの酵素的分解が抑制される。また、セマグルチドは自己会合により多量体を形成しているが、SNACによってモノマー化が促進されることが明らかになっている。

 2型糖尿病患者を対象とした4つの国際共同試験および2つの国内試験から、単独療法および他の経口血糖降下薬やインスリンとの併用療法における本薬の有用性および安全性が検証された。海外では、2020年4月現在、米国、カナダおよびEUで承認され、このうち米国とカナダで発売されている。

 副作用は、悪心、下痢(各5%以上)などがある。重大な副作用として、急性膵炎(0.1%)が認められており、低血糖を生じる可能性もあるので十分注意する。

 また、薬剤使用に際しては、胃の内容物により本薬の吸収が低下することから、1日のうち最初の食事または飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分(約120mL)の水とともに服用すること。さらに、服用時および服用後少なくとも30分は、飲食および他の薬剤の経口摂取を避けることを患者に指導・理解させておく必要がある。

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