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【新薬】メラトニン(メラトベル)
小児の神経発達症に伴う睡眠障害に初のメラトニン製剤

2020/07/24
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年6月23日、入眠改善薬メラトニン(商品名メラトベル顆粒小児用0.2%)が発売された。本薬は3月25日に製造販売が承認され、5月20日に薬価収載されていた。適応は「小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善」、用法用量は「小児に1日1回1mgを就寝前に投与。なお、症状により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと」となっている。

 注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)を含む神経発達症は、小児における発達期早期、とりわけ小中学校入学前に発症または診断され、学業または職業において、個人的・社会的な機能障害を引き起こす。神経発達症は睡眠障害を合併する場合が多く、生じる睡眠障害も不眠障害、睡眠時随伴症群、概日リズム睡眠覚醒障害群など多様である。神経発達症の睡眠障害の原因の1つとして、夜間における松果体からのメラトニン分泌の低下が挙げられる。また、メチルフェニデート(コンサータ、リタリン)などのADHD治療薬による副作用の影響もあると考えられる。

 内因性ホルモンであるメラトニンは、トリプトファンからセロトニンを経て合成され、2つのメラトニン受容体サブタイプMT1およびMT2によって睡眠に対する作用を発揮する。MT1受容体の活性化は睡眠に関与し、MT2受容体の活性化は視床下部の視交叉上核によって制御される睡眠・覚醒を含む概日リズムの維持・調節に関与している。

 これまで、国内ではメラトニンは治療薬として承認されておらず、メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(ロゼレム)が成人に対する「不眠症における入眠困難の改善」で臨床使用されている。一方、小児期の神経発達症に伴う睡眠障害に対する治療薬が承認されていなかったことから、2019年1月に、日本小児神経学会より医薬品としてのメラトニン早期承認についての要望書が厚生労働大臣宛に提出されていた。

 6~15歳のASDに伴う睡眠障害患者を対象とした国内第2/3相試験(対照:プラセボ)および6~15歳の神経発達症に伴う睡眠障害患者を対象とした国内第3相試験で、本薬の有効性および安全性が検証された。海外では、2020年4月現在、EU加盟国で徐放錠が承認されている。

 副作用として、傾眠(4.2%)、頭痛、肝機能検査値上昇(各1%以上)などが認められている。医薬品リスク管理計画書(RMP)では、重要な潜在的リスクとして性成熟/発達遅延(思春期遅発)が懸念されていることに十分注意する。

 本薬の投与対象となる睡眠障害の分類は、米国精神医学会精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)における「不眠障害の入眠困難」および「概日リズム睡眠覚醒障害群の睡眠相後退型」または、睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)における「不眠症の慢性不眠障害における入眠困難」および「概日リズム睡眠覚醒障害群の睡眠・覚醒相後退障害」であることを把握しておく。

 なお、小児期の強迫性障害などに使用されるフルボキサミン(デプロメール、ルボックス)との併用により本薬の血中濃度が上昇し、作用が強く現れるおそれがあるため、併用禁忌となっている。

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