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【新薬】ルラシドン(ラツーダ)
統合失調症・双極性障害を治療する非定型抗精神病薬に新たな選択肢

2020/07/10
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年6月11日、抗精神病薬ルラシドン塩酸塩(商品名ラツーダ錠20gm、同錠40mg、同錠60mg、同錠80mg)が発売された。本薬は3月25日に製造販売が承認され、5月20日に薬価収載されていた。適応は「(1)統合失調症、(2)双極性障害におけるうつ症状の改善」、用法用量は「(1)成人には、1日1回40mgを食後投与。年齢、症状により適宜増減するが、最大1日80mgまで。(2)成人には、1日1回20〜60mgを食後投与。開始用量は20mg、増減幅は1日20mgとし、年齢、症状により適宜増減するが、最大1日60mgまで」となっている。

 薬物療法が基本となる統合失調症の治療では、陽性症状(幻覚、妄想など)や陰性症状(意欲減退、感情鈍麻など)に加えて、患者のQOLに影響を与えるうつ症状の改善も重要である。国内外の診療ガイドラインでは非定型抗精神病薬が第一選択薬に位置付けられており、現在臨床使用されている非定型抗精神病薬としてはリスペリドン(リスパダール他)などのセロトニン・ドパミン拮抗薬、オランザピン(ジプレキサ他)などの多元受容体作用抗精神病薬、アリピプラゾール(エビリファイ他)、ブレクスピプラゾール(レキサルティ)といったセロトニン・ドパミンアクティビティモジュレーターがある。

 双極性障害は、うつ状態、躁状態を繰り返す慢性的な気分障害である。特に、うつ状態が占める期間が長いことが知られており、社会生活や家庭生活を営む上で大きな障害となっている。現在、双極性障害におけるうつ症状の薬物療法ではオランザピン、クエチアピン徐放製剤(ビプレッソ)が臨床使用されている。

 ルラシドンは、リスペリドンと同じセロトニン・ドパミン拮抗薬に分類される薬剤であるが、既存の薬剤と異なりドパミンD2受容体、セロトニン5-HT2A受容体および5-HT7受容体に対してはアンタゴニスト、5-HT1A受容体に対してはパーシャルアゴニストとして作用する。一方、ヒスタミンH1受容体およびムスカリンM1/M2受容体に対してはほとんど親和性を示さない。

 3つの国際共同第3相試験(対象:日本人患者を含む急性期の統合失調症患者または大うつ病エピソードを有する双極I型障害患者)において、本薬の有効性および安全性が検証された。海外では2020年5月現在、統合失調症治療薬として米国を含む世界47の国と地域で、双極I型障害のうつ症状に対する治療薬として7つの国と地域で承認されている。

 副作用としてアカシジア(静坐不能、8.6%)などが認められている。重大な副作用として遅発性ジスキネジア、高血糖、白血球減少(各1%未満)が報告されており、悪性症候群、痙攣、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、肺塞栓症、深部静脈血栓症、横紋筋融解症、無顆粒球症を生じる可能性もある。

 なお、中等度以上の腎機能障害患者または肝機能障害患者への投与に際しては、添付文書に具体的な投与量を示した表があるので参考にする。

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