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【新薬】カボザンチニブ(カボメティクス)
腎細胞癌に有効な分子標的薬に新たな選択肢

2020/06/12
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年5月22日、抗悪性腫瘍薬カボザンチニブリンゴ酸塩(商品名カボメティクス錠20mg、同錠60mg)が発売された。本薬は3月25日製造販売が承認され、5月20日薬価収載されていた。適応は「根治切除不能または転移性の腎細胞癌」、用法用量は「成人、1日1回60mgを空腹時に投与。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 腎細胞癌RCC)は、腎臓に発生する悪性腫瘍の90%近くを占め、10万人に約6人が発症すると言われている。好発年齢は70歳台で、男性の患者がやや多い傾向がある。RCCの治療は進行癌の場合も含めて腎摘出術が基本となるが、進行癌の治療として近年数多くの分子標的薬が登場し、予後の改善が進んでいる。なお、腎摘出術に際して、腫瘍縮小効果を期待して分子標的薬による術前補助療法が行われることもある。RCCに対する分子標的薬としては、血管新生を阻害する薬剤としてスニチニブ(スーテント)やパゾパニブ(ヴォトリエント)などのマルチキナーゼ阻害薬、エベロリムス(アフィニトール)やテムシロリムス(トーリセル)などのmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)阻害薬、アキシチニブ(インライタ)といった血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害薬などがあり、近年では免疫チェックポイント阻害薬として、抗PD-1抗体のニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、抗PD-L1抗体のアベルマブ(バベンチオ)が臨床使用されている。

 カボザンチニブは、スニチニブなどと同様に、複数のチロシンキナーゼを標的としたマルチキナーゼ阻害薬で、癌細胞の増殖抑制および血管新生阻害作用により抗悪性腫瘍効果を発揮する分子標的薬である。血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、肝細胞増殖因子受容体(MET)、growth arrest-specific 6(GAS6)受容体(AXL)などを介したシグナル伝達を阻害する。

 既存の血管新生阻害薬(スニチニブ、バゾパニブなど)による治療後に増悪した根治切除不能または転移性の淡明細胞型RCC患者を対象とした国内第2相試験(Cabozantinib-2001試験)および海外第3相試験(METEOR試験、対照:エベロリムス)、化学療法歴のない根治切除不能または転移性の淡明細胞型RCC患者を対象とした海外第2相試験(CABOSUN試験、対照:スニチニブ)において、根治切除不能または転移性のRCC患者に対する2次治療以降の治療薬および一次治療薬として、標準治療薬を対照に有効性と安全性が示された。海外では、2020年3月現在、米国、欧州を含む世界40カ国以上の地域で承認されている。

 副作用としては、下痢(68.9%)、疲労(50.7%)、食欲減退(40.1%)、悪心、口内炎、嘔吐、腹痛、消化不良、発疹、味覚異常、体重減少、甲状腺機能低下症、発声障害、粘膜の炎症、無力症、低マグネシウム血症、低リン酸血症(各10%以上)などがある。重大な副作用としては、手足症候群(44.4%)、高血圧(37.6%)、肝機能障害(36.3%)、蛋白尿(14.2%)などの腎障害(19.1%)、貧血(14.4%)や血小板減少(11.0%)などの骨髄抑制、重度の下痢(11.0%)、消化管出血(0.9%)などの出血(9.9%)、肺塞栓症(1.6%)などの血栓塞栓症(2.3%)、不整脈(2.3%)、消化管穿孔(1.1%)、瘻孔(1.1%)、膵炎(0.9%)、創傷治癒遅延(0.9%)、顎骨壊死(0.2%)、心不全(0.2%)などが認められている。可逆性後白質脳症症候群、肝不全、虚血性心疾患、横紋筋融解症、間質性肺疾患を生じる可能性もある。

 薬剤使用に際しては、下記の事項について十分留意しておかなければならない。

・食後投与によりCmaxおよびAUCが増加するとの報告があることから、食事の1時間前から食後2時間の間は投与しない。
・副作用が発現した場合には、添付文書に記載の「減量・中止する場合の投与量」、「副作用発現時の休薬、減量または中止基準の目安」の基準を考慮して、休薬、減量または中止する。

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