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【新薬】チラブルチニブ(ベレキシブル)
中枢神経系原発リンパ腫を治療する世界初のBTK阻害薬

2020/06/05
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年5月20日、抗悪性腫瘍薬チラブルチニブ塩酸塩(商品名ベレキシブル錠80mg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は3月25日に製造販売が承認されていた。適応は「再発または難治性の中枢神経系原発リンパ腫」、用法用量は「成人、1日1回チラブルチニブとして480mgを空腹時に経口投与。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 中枢神経系原発リンパ腫PCNSL)は、診断時に中枢神経系外に他の病巣を認めない中枢神経系に限局した悪性リンパ腫である。病理学的には、PCNSLの95%がB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)サブタイプのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に分類される。PCNSLの治療としては、高用量のメトトレキサート療法を基盤とした全脳照射併用療法がある。これにより長期寛解するものの、再発または難治性のPCNSLに対する標準治療が確立していないのが現状であった。

 PCNSLの多くを占めるDLBCLは、B細胞受容体(BCR)シグナルの恒常的活性化が発症および腫瘍増殖の主要メカニズムと考えられている。そのため、BCRシグナル伝達系を阻害する薬剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬の早期開発・承認が熱望されていた。BTK阻害薬としては、イブルチニブ(イムブルビカ)が2016年5月から「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)/再発または難治性のマントル細胞リンパ腫」の適応で臨床使用されている。

 チラブルチニブは、BCRの下流に位置するメディエーターであるBTKと結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害する薬剤で、PCNSLに対する抗腫瘍効果を発揮する薬剤としては世界初となる。

 再発または難治性のPCNSL患者(B細胞性腫瘍以外の患者を除く)を対象とした国内第1/2相試験(ONO-4059-02試験)で、本薬の有効性と安全性が検証された。

 副作用としては、発疹(35.3%)、悪心、嘔吐、便秘、高カリウム血症、高トリグリセリド血症、斑状丘疹状皮疹(各10%以上)が認められている。重大な副作用として、出血、感染症、重度の皮膚障害、骨髄抑制、過敏症、間質性肺疾患、肝機能障害を生じる可能性もある。

 薬剤使用に際しては下記の事項に留意する。

・食後に投与した場合、CmaxおよびAUCが上昇するとの報告があるので、食事の1時間前から食後2時間までの投与は避ける。
・副作用発現時には最新の添付文書に記載のある「減量段階」、「休薬、減量、中止の目安」を参考にする。

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