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【新薬】インスリン リスプロ(ルムジェブ)
より速い血糖降下作用を示す超速効型インスリンに新たな選択肢

2020/05/22
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年5月20日、超速効型インスリアナログ製剤インスリン リスプロ(商品名ルムジェブ注カート、同注ミリオペン、同注ミリオペンHD、同注100単位/mL)が薬価収載された。本薬は、3月25日に製造販売が承認されていた。適応は「インスリン療法が適応となる糖尿病」であり、用法用量は「成人に1回2~20単位を毎食事開始時に皮下注射するが、必要な場合は食事開始後の投与も可能。ときに、投与回数を増やしたり、持続型インスリン製剤と併用したりすることがある。維持量としては持続型インスリン製剤の投与量を含めて1日4~100単位。また、バイアル製剤は、必要に応じ持続皮下注入ポンプを用いて投与する」となっている。

 現在、糖尿病治療においては食事および運動療法とともに薬物療法が中心的役割を担っている。薬物療法では、2型糖尿病に使用される経口血糖降下薬に加えて、インスリン治療が不可欠な1型糖尿病を主な対象とする、作用時間が異なる各種インスリンアナログおよびヒトインスリン製剤が臨床使用されている。

 インスリン治療の中でも、近年登場した超速効型インスリン製剤は作用発現時間が15分以内と速く、最大作用時間が約2時間と短いのが特徴であり、食直前の投与で食事による血糖値の上昇を抑えることが可能である。現在、超速効型インスリン製剤として、インスリン アスパルト(ノボラピッド)、インスリン リスプロ(ヒューマログ)、インスリン グルリジン(アピドラ)の3つが広く使用されている。
 
 一方で、既存の超速効型インスリン製剤を用いても、食後の速やかな生理的インスリン分泌を完全には再現できず、その結果、十分な血糖コントロールが得られない症例も報告されているのが現状である。このことから、インスリン アスパルトにニコチン酸アミドを添加剤として配合したことで血糖降下作用の発現が速くなった製剤(フィアスプ)が2020年2月より使用されるようになった。
 
 今回、薬価収載されたルムジェブの有効成分(インスリン リスプロ)は既存のヒューマログと同じであるが、血糖降下作用がより速く発現するように、添加剤としてトレプロスチニルおよびクエン酸を配合した。トレプロスチニルにより注射部位の局所血管が拡張し、クエン酸により血管透過性が亢進することで、皮下投与後初期のインスリン リスプロの血中への吸収が速くなり、ヒューマログよりも速く血糖降下作用を発現する。

 持続型インスリン製剤であるインスリン デグルデク(トレシーバ)、またはインスリン グラルギン(ランタス他)を併用するBasal-Bolus療法実施中の18歳以上の糖尿病患者(日本人を含む)を対象とした2つの国際共同第3相試験(それぞれ1型糖尿病患者、2型糖尿病患者が対象)において、本製剤の食直前(食事開始の0~2分前)、食後(食事開始後20分)での有効性(食直前投与のヒューマログに対する非劣性)と安全性が確認された。海外では、2020年3月に欧州で承認されている。

 薬剤投与による重大な副作用として、同一有効成分の既存薬(ヒューマログ)と同様に、低血糖、アナフィラキシーショック、血管神経性浮腫を生じる可能性がある。特に、本薬は速やかに作用することから、他の食事時インスリンに比べて低血糖が早期に発現する可能性があるため、対処方法を含め患者へ十分な説明を行うこと。また、ヒューマログ(食直前15分以内に投与)と作用動態が異なることから、食事開始時に投与する場合は食事開始前の2分以内、食事開始後に投与する場合は食事開始から20分以内に投与する。

 なお、本薬にはカートリッジ製剤をあらかじめインスリンペン型注入器に装填した使い捨て型キットが2種類(最小設定単位が1単位のミリオペンと0.5単位のミリオペンHD)ある。

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