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【新薬】ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(ロケルマ)
高カリウム血症に国内初の非ポリマー無機陽イオン交換化合物

2020/05/15
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年5月20日、高カリウム血症改善薬ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(商品名ロケルマ懸濁用散分包5g、同懸濁用散分包10g)が薬価収載される。適応は「高カリウム血症」、用法用量は「1回量を水で懸濁して投与する。成人、開始用量として1回10gを1日3回、2日間投与。なお、血清カリウム値や患者の状態により最長3日間まで投与可。以後は、1回5gを1日1回投与。なお、血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまで。血液透析施行中は、1回5gを非透析日に1日1回投与。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1日1回15gまで」となっている。

 高カリウム(K)血症は、尿中K排泄量の低下、Kの細胞外への移動、Kの過剰摂取などにより、血清K値が5.5mEq/Lを上回るような高値になる状態を指し、倦怠感、筋力低下、不整脈などの症状を伴うこともある。慢性腎臓病(CKD)患者、心不全患者、糖尿病患者、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害薬などの血清K値を上昇させる薬剤を投与中の患者で認められる。

 高K血症に対しては、背景疾患・服用薬剤、血清K値、随伴症状などに基づいた治療が行われている。軽度では原因となる疾患治療および服用薬剤の調整、食事制限、代謝性アシドーシスの補正、利尿薬や樹脂製剤の投与が推奨されており、中等度から重度の緊急を要する場合にはインスリンとグルコースの静注や炭酸水素ナトリウム(メイロン他)の静注、血液透析などが実施される。

 軽度の高K血症治療では、K吸着薬であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ケイキサレート他)、ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート、アーガメイト他)などの陽イオン交換樹脂製剤が薬物療法として使用されているが、これらの樹脂製剤の使用は、K以外の電解質にも影響を及ぼすことが報告されている。

 ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物は、国内初となる体内で吸収されない均一な微細孔構造を有する非ポリマー無機陽イオン交換化合物であり、水分によって膨潤しないという特徴を有する。本薬は、消化管内腔においてKイオンを選択的に捕捉して水素イオンおよびナトリウムイオンと交換することで、Kを糞中に排泄させる。これにより、消化管内腔でのK濃度を低下させ、血清K濃度を低下させることで高K血症を改善する。一方で、尿中ナトリウム排泄量には影響は認められていない。

 高K血症患者を対象とした国内第2/3相用量設定試験、国内第3相長期投与試験、日本人患者を含む国際共同第3相試験(HARMONIZE Global試験)の3つの臨床試験および、血液透析患者を対象とした日本人患者を含む国際共同第3相試験(DIALIZE試験)にて、本薬の有効性と安全性が検証された。

 薬剤投与による副作用は、浮腫(浮腫、体液貯留、全身性浮腫、末梢性浮腫、末梢腫脹)、便秘(各10%未満)などが認められており、重大な副作用として低K血症(11.5%)、うっ血性心不全(0.5%)が報告されているので十分注意する。

 薬剤使用に際しては、下記の事項について留意する。
・薬剤投与開始3日目に投与する場合は、投与前に血清K値が治療目標値に達していないことを確認する。
・投与開始時および投与量調整時は、1週間後を目安に血清K値を測定する。以後は、患者の状態などに応じて、定期的に血清K値を測定する。
・増量する場合は5gずつとし、1週間以上の間隔を空ける。
・血清K値が3.5mEq/L未満に低下した場合は減量または中止を考慮し、3.0mEq/L未満に低下した場合には投与を中止する。

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