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【新薬】アスピリン/ボノプラザン(キャブピリン)
血栓・塞栓形成の抑制に第2の低用量アスピリン・PPI配合剤

2020/05/08
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年3月25日、アスピリンボノプラザンフマル酸塩配合製剤(商品名キャブピリン配合錠)の製造販売が承認された。適応は「次の疾患または術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る):(1)狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)、(2)冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後」、用法用量は「成人、1日1回1錠を経口投与」となっている。

 本薬は、1錠中に血小板シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)阻害薬のアスピリン100mgと、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のボノプラザン(タケキャブ)10mgを配合した製剤で、アスピリンを含む腸溶性の内核錠を、ボノプラザンを含む外層が包み込んだ構造となっている。そのため、破砕せず、そのまま噛まずに服用する。

 虚血性の心・脳血管系疾患における血栓・塞栓形成抑制には、アスピリンなどの抗血小板薬投与が一般的で、国内外のガイドラインでも推奨されている。アスピリンは、1899年に抗炎症薬として臨床使用され、その後抗血小板作用も確認された。現在、抗血小板薬の中でアスピリンは最も費用対効果が高い薬剤とされ、日本でも高頻度で使用されている。アスピリンの抗血小板作用は、血小板COX-1をアセチル化によって不可逆的に阻害することによるもの。低用量(81~324mg/日)では抗血小板作用を示すが、高用量では解熱鎮痛作用を示し、抗血小板作用は失われることが知られている。

 アスピリンは優れた抗血小板作用を有する一方で、胃・十二指腸潰瘍を惹起する欠点も指摘されている。そのため、アスピリン使用時には、PPIなどの消化性潰瘍治療薬を併用投与する。低用量アスピリン療法時に併用できるPPIとしては、「薬剤投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制」に適応を有するランソプラゾール(タケプロン他)、エソメプラゾール(ネキシウム)、ボノプラザンが挙げられる。

 今回承認されたキャブピリンは、2014年6月に発売されたタケルダ(PPIとしてランソプラゾールを含有)に次ぐ低用量アスピリン・PPI配合製剤である。タケルダと同様に、合剤化により副作用(胃・十二指腸潰瘍)の低減、患者の服薬負担の軽減に貢献することが期待される。キャブピリンに含まれるPPIであるボノプラザンは、既存のPPIよりも塩基性が高く、胃壁細胞の分泌細管に高濃度に集積する。また、長時間残存してカリウムイオンと競合的な様式で可逆的に酵素活性を阻害し、強力かつ持続的な酸分泌抑制作用を示す。

 低用量アスピリンの長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往歴を有する患者を対象とした国内第3相試験でランソプラゾールに対する非劣性が示され、その後の長期追跡でも効果と安全性が確認された。

 本薬投与による副作用として、便秘、下痢、腹部膨満感、悪心、腹痛、食道炎、胃部不快感、そう痒、貧血、好酸球増多、血圧低下、浮腫(各0.1~5%未満)が認められている。重大な副作用としては、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、再生不良性貧血、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑、剥脱性皮膚炎、ショック、アナフィラキシー、頭蓋内出血、肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血、喘息発作、肝機能障害、黄疸、消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍を生じる可能性もある。 

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