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【新薬】インスリン グラルギン/リキシセナチド(ソリクア)
第2のインスリン・GLP-1作動薬の配合注射製剤

2020/05/01
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年3月25日、糖尿病治療薬インスリン グラルギン/リキシセナチド配合注射製剤(商品名ソリクア配合注ソロスター)の製造販売が承認された。適応は「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」、用法用量は「成人には、1日1回朝食前5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20㎍)を皮下注。ただし、1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減するが、1日20ドーズを超えないこと。投与は朝食前1時間以内に行い、食後の投与は行わない」となっている。

 日本では糖尿病の罹患患者の約90%は2型糖尿病であり、近年の生活習慣や社会環境の変化に伴い、2型糖尿病患者数は増加傾向にある。2型糖尿病は進行性の代謝疾患であり、ライフスタイルの改善と薬物療法の組み合わせによる段階的な治療アプローチが必要とされている。具体的には1剤から治療を開始し、経口糖尿病薬の多剤併用療法、経口糖尿病薬と注射製剤であるGLP-1受容体作動薬またはインスリンとの併用療法、あるいはインスリンとGLP-1受容体作動薬との併用療法の導入を検討する。中でも、基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬との併用療法は、日本および欧米の糖尿病学会のガイドラインにおいて、標準治療の選択肢の1つとして掲載されている。しかし、併用療法では1日数回の投与(注射)が必要な場合もあり、こうした治療の複雑さが長期にわたる糖尿病治療の継続に影響を及ぼすことが懸念されている。

 ソリクアは、基礎インスリン製剤である持効型溶解インスリンアナログのインスリン グラルギン(ランタス他)とヒトGLP-1アナログのリキシセナチド(リキスミア)を固定比率(1単位:1μg)で配合した配合皮下注射製剤である。基礎インスリンとGLP-1との配合皮下注製剤としてはインスリン デグルデク/リラグルチド配合注射製剤(ゾルトファイ)に次ぐ薬剤である。

 インスリン グラルギンは、中性のpH領域で低い溶解性を示すように設計されたヒトインスリンである。約pH4の無色澄明な溶液で、皮下投与により直ちに生理的pHにより微細な沈殿物を形成する。その後、皮下に滞留した沈殿物からインスリン グラルギンが徐々に溶解し、皮下から血中に移行することで、24時間にわたり血中濃度がほぼ一定に保たれ、安定した血糖降下作用を示す。また、リキシセナチドはインクレチンホルモンであるGLP-1のアナログとして、グルコース濃度依存的に膵β細胞からのインスリン分泌を促進させるとともに、グルカゴン分泌を抑制する。インスリン グラルギンとリキシセナチドを配合するソリクアは、新規で糖尿病用注射剤を導入する患者および持続型溶解インスリン製剤から切り替える患者に対して1日1回の投与で、空腹時血糖と食後血糖を同時にコントロールし、HbA1c値を改善することが期待される。

 経口糖尿病薬で治療中のインスリン未治療患者を対象とした2つの国内第3相試験(GLP-1アナログとの比較および基礎インスリン製剤との比較)、インスリン既治療患者を対象とした国内第3相試験(基礎インスリン製剤との比較)から本薬の有効性および安全性が確認された。本薬は、国内ではインスリン グラルギンとリキシセナチドを1:1で配合した製剤となるが、海外では、異なる配合比の製剤が欧米で承認されている。

 主な副作用としては、悪心(5%以上)、腹部不快感、下痢、嘔吐、消化不良、便秘、胃腸炎、食欲不振、めまい、振戦、注射部位反応、疲労(各1~5%未満)などが認められている。重大な副作用としては低血糖が報告されており、急性膵炎、ショック、アナフィラキシーを生じる可能性もある。

 本薬の使用開始に当たっては、食事療法・運動療法に加え、糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合に使用を検討する。

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