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【新薬】レミマゾラム(アネレム)
CYPを介さず代謝される超短時間作用型ベンゾジアゼピン系全身麻酔薬

2020/03/13
北村 正樹(東京慈恵会医科⼤学附属病院薬剤部)

 2020年1月23日、全身麻酔薬レミマゾラムベシル酸塩(商品名アネレム静注用50mg)の製造販売が承認された。適応は「全身麻酔の導入及び維持」、用法用量は「《導入》成人に12mg/kg/時の速度で、患者の全身状態を観察しながら、意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入。患者の年齢、状態により投与速度を適宜減速。《維持》成人に1mg/kg/時の速度で静脈内へ持続注入。適切な麻酔深度が維持できるよう患者の全身状態を観察しながら、2mg/kg/時を上限に投与速度を適宜調節する。なお、患者の年齢、状態に応じて投与開始速度を適宜減速。また、覚醒徴候が認められた場合は、最大0.2mg/kgを静脈内投与も可」となっている。

 全身麻酔に必要な条件は、(1)意識の消失、(2)無痛、(3)筋弛緩、(4)有害反射の抑制である。医療現場では、麻酔・鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬の3剤を個々の患者の特性に合わせてバランスよく投与し、全身麻酔を組み立てるバランス麻酔が主流となっている。現在、これらの全身麻酔の必要条件を全て満たす静脈内投与製剤である、プロポフォール(ディプリバン他)やミダゾラム(ドルミカム他)などが臨床現場で広く使用されている。

 プロポフォールは、麻酔導入・覚醒の速さから、多くの全身麻酔の導入および維持に用いられている一方、血圧低下、心抑制などの循環動態変動や、脂肪乳剤に起因する注射時疼痛(血管痛)を引き起こしたり、代謝半減期が長いといった課題もある。また、ミダゾラムは、循環抑制作用が少なく、同薬の拮抗薬であるフルマゼニル(アネキセート他)も使用できるといった特徴を有しているが、半減期が長く、また代謝物に活性があるため麻酔の調節性に劣る点も指摘されていた。

 レミマゾラムは、既存のミダゾラムと同じベンゾジアゼピン系全身麻酔薬である。循環抑制作用が少なく、投与時の注射部位反応が少ないこと、拮抗薬フルマゼニルによって拮抗されることなど、既存のミダゾラムと同様の利点もある。ミダゾラムと類似した構造を有しているが、レミマゾラムはジアゼピン環にエステル結合の側鎖を持ち、主に肝臓の組織エステラーゼによって速かに代謝される超短時間作用型静注製剤となっている。また、代謝に肝薬物代謝酵素CYPが関与しておらず、代謝物に活性がないことも、ミダゾラムとの大きな相違点となっている。レミマゾラムはこうした特徴から、高齢者や循環動態が不安定な患者を含め、全身麻酔を施行する幅広い患者に対して有効かつ安全性の高い薬剤として期待されている。

 日本人の全身麻酔施行手術患者を対象とした国内第2/3相実薬対照無作為化単盲検比較試験(対照薬:プロポフォール)において、プロポフォールに対する本薬の非劣性が検証された。2020年1月現在、海外では発売されていない。

 国内後期第2/3相試験において、副作用が42.7%に認められている。主な副作用として、紅斑、頭痛、悪心、嘔吐、悪寒(1%以上10%未満)などがある。重大な副作用としては、低血圧(26%)、徐脈(4.7%)が報告されているほか、依存性、呼吸抑制、覚醒遅延を生じる可能性がある。

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