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【新薬】ウパダシチニブ(リンヴォック)
関節リウマチを治療する4番目のJAK阻害薬

2020/03/06
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年1月23日、関節リウマチ治療薬ウパダシチニブ水和物(商品名リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」、用法用量は「1日1回15mgを経口投与。なお、患者の状態に応じて1日1回7.5mg投与も可能」となっている。

 関節リウマチRA)は慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約60~100万人、世界には2000万人以上の患者がいると推定されている。RAの症状は手と足に現れることが典型的だが、滑膜のある関節で発症する可能性がある。

 RAの薬物治療は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が中心となるが、発症の初期段階ではメトトレキサート(MTX;リウマトレックス他)や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の使用が基本となる。これらの治療で効果不十分な症例には、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)、ペフィシチニブ(スマイラフ)といった低分子化合物の分子標的薬や、キメラ型抗腫瘍壊死因子(TNF)αモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(レミケード他)、可溶性TNFレセプターとヒトIgGとの融合蛋白であるエタネルセプト(エンブレル他)、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤のアダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、ペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab'断片製剤のセルトリズマブ(シムジア)、T細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプト(オレンシア)、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬のトシリズマブ(アクテムラ)、サリルマブ(ケブザラ)といった生物学的製剤が用いられている。

 ウパダシチニブは、トファシチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブに次ぐ4番目のJAK阻害薬であり、細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種であるJAKを阻害することで炎症を抑制する。一般的にJAKは、RAにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、細胞内のシグナル伝達回路(JAK pathway)を阻害することで、抗炎症作用を発揮する。JAKには4種類のサブタイプ(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)があり、サイトカイン受容体ごとに異なる種類のJAKが会合している。ウパダシチニブは、4種のサブタイプのうち特に、炎症性サイトカインシグナルにおいて重要なJAK1を強く阻害する。

 MTXを含むDMARDsで効果不十分なRA患者を対象とした国内第2b/3相試験(M14-663試験)と2つの国際共同第3相試験(M15-555試験、M13-545試験)、海外第3相試験(M14-465試験、M13-542試験、M13-549試験)において、本薬の有効性と安全性が確認された。

 国内外の臨床試験において、悪心、急性副鼻腔炎などの上気道感染、CK上昇(各1%以上)などの副作用が認められている。重大な副作用としては、好中球減少(1.4%)、リンパ球減少(0.8%)、ヘモグロビン減少(貧血:0.7%)、帯状疱疹(0.7%)・肺炎(0.1%未満)・結核などの感染症、消化管穿孔、ALT上昇(1.8%)・AST上昇(1.4%)などの肝機能障害、間質性肺炎、静脈血栓塞栓症を生じる可能性がある。

 既存のJAK阻害薬と同様に、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤で致命的な感染症の発現または悪化が報告されていることから、本薬投与に際しては患者の状態を十分観察する。また、免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増大する可能性があることから、他のJAK阻害薬やTNFα阻害薬、IL-6阻害薬といった生物学的製剤、タクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビンなどの強力な免疫抑制薬(局所製剤以外)と本薬との併用はしないこととなっている。

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