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【新薬】レンボレキサント(デエビゴ)
不眠症を改善する第2のオレキシン受容体拮抗薬

2020/02/21
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年1月23日、不眠症治療薬レンボレキサント(商品名デエビゴ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg)の製造販売が承認された。適応は「不眠症」、用法用量は「1日1回5mgを就寝直前に経口投与。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこと」となっている。

 不眠症は日常の生活の質を低下させ、うつ病の危険因子であることが明らかになっている。また、不眠症患者は、健常人と比べて糖尿病や高血圧の有病率が高いことが報告されており、これらの発症を助長する危険因子としても注目されている。日本では、成人の3人に1人が「寝つきが悪い」「睡眠中に何度も目が覚める」など、何らかの不眠症症状を有しているとされている。

 現在、不眠症治療の中心となるのは薬物療法である。使用される睡眠薬としては、ペントバルビタール(ラボナ)などのバルビツール酸系の依存性の強い睡眠薬から、より忍容性の高いトリアゾラム(ハルシオン他)などのベンゾジアゼピン系や、ゾルピデム(マイスリー他)、エスゾピクロン(ルネスタ)、ゾピクロン(アモバン他)といった非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に移ってきた。

 しかし近年、睡眠薬の処方頻度が高まる中で、一部の患者で長期服用時の依存(耐性、離脱、高用量、多剤併用)や乱用(過量服用など)が生じていることが大きな社会問題となっている。こうした背景から、ベンゾジアゼピン受容体に作用しない新しい作用機序を有するメラトニン受容体作動薬のラメルテオン(ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(ベルソムラ)などの処方頻度も年々増加している。

 レンボレキサントは、スボレキサントに次ぐ第2のオレキシン受容体拮抗薬である。覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシンの受容体(オレキシン1およびオレキシン2)への結合を競合的に阻害することで、過剰な覚醒状態を抑制し、脳を覚醒状態から睡眠状態へと移行させる生理的なプロセスをもたらす。

 既存のスボレキサントは、高齢者には用量を減量して投与する必要があるが、レンボレキサントでは高齢者でも同用量の投与となっている。また、レンボレキサントの薬物相互作用について、肝薬物代謝酵素CYP3Aを中程度または強力に阻害する薬剤(イトラコナゾール[イトリゾール他]など)との併用は、本薬の代謝が阻害され、傾眠などの副作用が増強する可能性があることから、患者の状態を慎重に観察して本薬投与の可否を判断し、併用する場合には本薬の投与を1日1回2.5mgとするが、併用自体は可能となっている。これは、CYP3Aを強く阻害する薬剤との併用が禁忌であるスボレキサントとの大きな相違点である。ただし、中等度肝機能障害患者に対しては、本薬の血中濃度が上昇する可能性があるので1日1回5mgを超えないこととし、慎重に投与する。

 成人の不眠症患者を対象とした2つのピボタル臨床第3相試験(SUNRISE 2試験、SUNRISE 1試験)、夜間覚醒時および翌日の姿勢安定性(ふらつき、転倒リスクの予測因子)や記憶力などの持ち越し効果を検討した主要な安全性試験(108試験、106試験)において、本薬の有効性と安全性が確認された。海外では、2020年1月現在、米国で承認されている。

 国際共同第3相試験において、副作用が28.2%に認められている。主な副作用としては、傾眠(10.7%)、頭痛(4.2%)、倦怠感(3.1%)などが報告されている。

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