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【新薬】デルゴシチニブ(コレクチム)
世界初、アトピー性皮膚炎への外用JAK阻害薬

2020/02/07
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2020年1月23日、アトピー性皮膚炎治療薬デルゴシチニブ(商品名コレクチム軟膏0.5%)の製造販売が承認された。適応は「アトピー性皮膚炎」、用法用量は「成人、1日2回適量を患部に塗布。1回あたりの塗布量は5gまで」となっている。本薬は油脂性懸濁型軟膏製剤(添加物として白色ワセリン、パラフィン、スクワランを使用)であり、1 FTU(finger tip unit)が約0.5gになるように設計された5gチューブを使用している。

※1 FTU:人差し指の先端から第1関節までチューブから絞り出した量

 アトピー性皮膚炎(AD)は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性疾患であり、患者の多くはアトピー素因を有している。特に、中等度から重症のADは、広範囲な発疹を特徴として、持続する難治性の痒み、皮膚の乾燥、亀裂、紅斑、痂皮と毛細管出血を伴うことがある。患者にとって、痒みが最も大きな負担となり、体力を消耗させることもある。

 ADの治療法は病態に応じて、薬物療法、皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア、悪化因子の検索と対策──の3点が基本となっており、これらを個々の患者ごとに症状の程度や背景などを勘案して適切に組み合わせる。このうち、現時点でのADの薬物治療としては、抗炎症外用薬のステロイドおよびタクロリムス(プロトピック他)が中心的治療薬と位置付けられており、有効性と安全性について多くの臨床研究で検討されている。これらの中心的治療薬を使用しても効果不十分なADに対しては、2018年4月よりヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体のデュピルマブ(デュピクセント)が、皮下注製剤として臨床使用されている。

 しかし、ADの中心的治療薬であるステロイド外用薬は、皮膚萎縮、毛細血管拡張、ステロイドざ瘡、ステロイド潮紅などの局所副作用があり、適応部位(顔や頸部など)によっては使用できない薬剤もある。また、タクロリムスは灼熱感などの皮膚刺激性が認められており、血中への移行が高くなるびらんや潰瘍面には使用できないといった制約がある。

 ADの治療目標は、症状が認められない、あるいは症状があっても軽微であり、かつ日常生活に支障がない寛解状態への導入およびその長期維持である。このことから、既存の中心的治療薬だけでなく、ADの病態形成や進展の要因(皮膚バリア機能の低下、炎症、痒み)を抑制できる、寛解導入および寛解維持療法において長期連用可能な薬剤の開発・承認が求められていた。

 デルゴシチニブは、細胞内の免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーに対する阻害作用を示し、免疫反応の過剰な活性化を抑制することでADを改善する、世界初となる非ステロイド性の外用JAK阻害薬である。既存のJAK阻害薬としては、内服製剤のバリシチニブ(オルミエント)、トファシチニブ(ゼルヤンツ)、ペフィシチニブ(スマイラフ)が「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」に対して、ルキソリチニブ(ジャカビ)が「既存治療が効果不十分または不適当な真性多血症」などに対して、分子標的薬として臨床使用されている。

 16歳以上の中等度~重症のAD患者を対象とした第3相比較試験および継続長期試験(QBA4-1試験)、16歳以上の軽症~重症のAD患者を対象とした第3相長期試験(QBA4-2試験)において、本薬の有効性と安全性が確認された。

 薬剤投与による主な副作用として、適用部位毛包炎(2.4%)、適用部位ざ瘡(2.2%)、カポジ水痘様発疹、適用部位刺激感、適用部位紅斑(各1%以上)などが報告されている。また、本薬使用に際しては、粘膜、潰瘍、明らかに局面を形成しているびらんなどへの使用は避け、治療開始4週間以内に皮疹の改善が認められない場合には、使用を中止する。

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