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【適応追加】オマリズマブ(ゾレア)
抗体医薬として初めて重症花粉症に適応拡大

2020/01/31
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年12月11日、ヒト化ヒトIgEモノクローナル抗体オマリズマブ(商品名ゾレア皮下注用75mg、同皮下注用150mg、同皮下注75mgシリンジ、同皮下注150mgシリンジ)について、「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)」の適応が追加された。追加された用法用量は「成人及び12歳以上の小児に1回75~600mgを、2又は4週間毎に皮下注射。1回当たりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、投与量換算表(添付文書を参照)により設定する」であり、特発性慢性蕁麻疹の場合(1回300mgを4週間毎)とは異なっている。

 オマリズマブは、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤であり、アレルギー反応に関与している免疫グロブリンE(IgE)と高親和性IgE受容体(FcεRI)の結合を阻害することで、好塩基球、肥満細胞などの炎症細胞の活性化を調節し、I型アレルギー反応を抑制する。日本では、2009年1月から「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、2017年3月から「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」の適応で臨床使用されている。

 季節性アレルギー性疾患である花粉症は、植物花粉抗原と花粉特異的IgEの抗原抗体反応が起こることで、ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出され症状を呈する。花粉症には、くしゃみや鼻汁、鼻閉などを主症状とする季節性アレルギー性鼻炎と、目のかゆみなどを主症状とする季節性アレルギー性結膜炎があり、日本における花粉症の有病率は年々増加傾向にあるとされている。有病率の増加の主原因はスギ花粉症患者の増加と考えられており、その要因としては、スギ花粉飛散量の増加、発症の低年齢化、自然治癒率が低いことなどが挙げられている。

 日本における花粉症、中でも季節性アレルギー性鼻炎に対する治療は、抗原の除去と回避が基本であり、対症療法として薬物療法が行われる他、アレルゲン免疫療法(減感作療法)や手術が行われている。このうち、薬物療法においては、重症度や病型に応じて抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)、鼻噴霧用ステロイド薬などが用いられている。しかし、これら既存の治療によっても症状を十分コントロールできない患者も存在し、治療継続に当たっては大きな課題となっている。

 ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体オマリズマブは、花粉症と同じくI型アレルギー疾患である気管支喘息や慢性蕁麻疹に対して臨床使用されている。IgEに結合してアレルギーカスケードの初期反応を阻害することで、花粉症に対する治療効果が期待されている。今回の適応拡大により、オマリズマブは世界で初めて季節性アレルギー性鼻炎に対する適応を有する抗体製剤となった。

 既存治療でコントロール不十分な重症または最重症スギ花粉症の成人患者および青少年患者を対象とした国内第3相試験(F1301試験)において、鼻症状に対する抗ヒスタミン薬フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ他)への本薬の上乗せ効果と、眼症状およびQOLの改善が示され、新たな安全性上の懸念についても認められなかった。

 薬剤投与による主な副作用として、注射部位での紅斑、腫脹(各5%以上)などが報告されている。重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシーを生じる可能性がある。また、今回の適応追加に際しては、全国の医療機関・薬局に対して、厚生労働省作成の「最適使用推進ガイドライン」(2019年12月)の周知徹底が図られている。このガイドラインには、臨床試験データに加え、本薬を取り扱う施設や医師に求められる要件、投与対象患者の基準、投与に際しての考え方や留意事項などが記載されているので、使用に際しては十分確認しておく必要がある。

 なお、季節性アレルギー性鼻炎の適応追加により、オマリズマブは2020年度薬価改定で新たに新設された「効能変化再算定」の特例が適用された。

※効能変化再算定:効能追加で主な効能・効果が変更された場合、変更後の効能・効果に関連する薬理作用類似薬に価格が近づくように調整するルール(関連記事

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