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【新薬】インスリン アスパルト(フィアスプ)
より速い血糖降下作用を示す超速効型インスリン

2020/01/10
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年11月19日、超速効型インスリアナログ製剤インスリン アスパルト(商品名フィアスプ注フレックスタッチ、同注ペンフィル、同注100単位/mL)が薬価収載された。本製剤は、2019年9月20日に製造販売が承認され、2020年2月7日に発売が予定されている。適応は「インスリン療法が適応となる糖尿病」、用法用量は「(成人)初期は1回2~20単位を毎食事開始時(食事開始前の2分以内)に皮下注射。必要な場合は食事開始後(食事開始から20分以内)の投与も可能。維持量としては、持続型インスリン製剤の投与量を含めて1日4~100単位。(小児)毎食事開始時(食事開始前の2分以内)に皮下注射。必要な場合は食事開始後(食事開始から20分以内)の投与も可能。維持量としては、持続型インスリン製剤の投与量を含めて1日0.5~1.5単位/kg。いずれの場合も、フレックスタッチ及びペンフィル製剤は持続型インスリン製剤と併用し、バイアル製剤は併用することもある。また、バイアル製剤は、必要に応じてポータブルインスリン用輸液ポンプを用いて投与することもあり、必要に応じて静注も可能」となっている。

 現在、糖尿病治療においては、食事・運動療法とともに薬物療法が中心的役割を担っている。この薬物療法では、2型糖尿病に使用される経口血糖降下薬に加えて、インスリンの補充が必要な1型糖尿病を主な対象とする、作用時間の異なる各種インスリンアナログおよびヒトインスリン製剤が臨床使用されている。

 インスリン治療の中でも、近年登場した超速効型インスリン製剤は作用発現時間が15分以内と早く、最大作用時間も2時間程度と短いのが特徴であり、食直前の投与で食事による血糖値の上昇を抑えることが可能である。現在、超速効型インスリン製剤として、インスリン アスパルト(ノボラピッド)、インスリン リスプロ(ヒューマログ)、インスリン グルリジン(アピドラ)の3製剤が広く使用されている。

 一方で、既存の超速効型インスリン製剤を用いても、食後の速やかな生理的インスリン分泌を完全には再現できず、その結果、十分な血糖コントロールが得られない症例も報告されているのが現状である。

 今回発売されたフィアスプの有効成分(インスリン アスパルト)は、既存のノボラピッドと同じであるが、血糖降下作用がより速く発現するように処方を変更している。具体的には、ニコチン酸アミドを添加剤として配合することにより、皮下投与後初期のインスリン アスパルトの血中への吸収が速くなり、ノボラピッドよりも速く血糖降下作用を発現させる。

 今回、フィアスプが使用可能となることで、従来の超速効型インスリン製剤と同様に1型糖尿病治療に貢献するとともに、成人のみならず小児の持続型インスリン製剤との併用(Basal-Bolus療法)においても、患者の食生活習慣や状態によって食事開始後にも投与可能となり、患者の利便性の向上が期待されている。

 持続型インスリン製剤インスリン テグルデク(トレシーバ)と併用するBasal-Bolus療法実施中の1型糖尿病患者を対象とした2つの国際共同第3相試験(onset 8[成人]、onset 7[1~18歳未満の小児])において、本製剤の有効性と安全性が確認された。海外では、2017年1月に欧州(EU)、同年9月に米国で承認され、2019年6月現在、世界43カ国で承認されている。

 薬剤使用にあたっては、既存の同一有効成分製剤(ノボラピッド)と同様に発現する可能性のある副作用(特に、重大な副作用として、低血糖、アナフィラキシーショック)などに注意し、対処方法などを含め患者に十分な説明を行い理解させる必要がある。

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