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【新薬】ブロスマブ(クリースビータ)
FGF23と結合して低リン血症性くる病・骨軟化症を治療する抗体医薬

2019/12/20
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年12月6日、低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬ブロスマブ(商品名クリースビータ皮下注10mg、同皮下注20mg、同皮下注30mg)が発売された。本薬は、9月20日に製造販売が承認され、11月19日に薬価収載された。適応は「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」、用法用量は「〈腫瘍性骨軟化症以外〉成人には、4週に1回1mg/kgを皮下注。小児には、2週に1回0.8mg/kgを皮下注し、最高用量は1回2mg/kg。いずれの場合も血清リン濃度や症状等に応じて適宜増減し、1回投与量は90㎎を超えないこと。〈腫瘍性骨軟化症〉成人に4週に1回0.3mg/kgを皮下注。血清リン濃度や症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kg」となっている。

 線維芽細胞増殖因子23(FGF23)は、血清リン濃度を低下させる働きを有するホルモンであり、体内のリンの恒常性維持において重要な役割を担っている。遺伝子変異やFGF23産生腫瘍などにより、FGF23の過剰産生が起こることを根本原因とする希少疾患群が、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症である。代表的な疾患として、PHEX遺伝子変異によるX染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)や間葉系腫瘍が原因となる腫瘍性骨軟化症(TIO)がある。小児期では長骨の弯脚や成長障害を主徴とするくる病、成人期では骨痛や骨折、偽骨折などの臨床症状を呈する骨軟化症が起こる。

 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の治療は、腫瘍がFGF23を過剰産生するTIO患者の場合、腫瘍の外科的切除が第一選択となる。一方、外科的切除が適用とならないTIO患者や遺伝子変異による先天性疾患の患者では、尿中に失われるリンを補充するために、経口リン酸製剤や活性型ビタミンD3製剤が用いられている。しかし、経口リン酸製剤および活性型ビタミンD3製剤による治療では、十分に効果を発揮できない患者がいることや、血清リン濃度および血清カルシウム濃度が変動するために、二次性または三次性副甲状腺機能亢進症、腎臓の石灰化などの副作用を発現することが課題となっている。

 ブロスマブは、FGF23を標的とするヒト型IgG1モノクローナル抗体であり、FGF23と結合してその過剰な作用を中和させることで、血清リン濃度を上昇させる。具体的には、FGF23の作用を阻害することで、近位尿細管でのリン再吸収を回復させるとともに、リンの腸管吸収を促進する1,25(OH)2Dの産生も増加させる。これにより、血清リン濃度が回復し、骨石灰化などの骨症状やその他の症状が緩和する。

 日本人患者を含むXLH患者を対象とした国際共同第3相試験(成人XLHを対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験、小児XLHを対象とした実薬対照非盲検比較試験)、成人TIO患者を対象とした国際共同第2試験(非盲検試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2019年5月現在、欧米など世界35カ国において承認されている。

 薬剤投与による副作用(臨床検査値異常を含む)として、発疹・そう痒・疼痛などの注射部位反応(29.5%)、筋骨格痛(10%以上)、下肢不快感(5~10%未満)などが報告されている。

 薬剤使用に際しては、以下の事項について事前に十分注意し、把握しておく必要がある。
(1)薬剤(含糖酸化鉄、ポリマルトース鉄)の投与に伴うFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対しては、本薬を投与せず、FGF23過剰の原因薬剤の投与を中止する。
(2)本薬投与開始にあたって、経口リン酸製剤または活性型ビタミンD3製剤を投与している場合は、これらの薬剤の投与を中止し、血清リン濃度が基準下限値を下回ったことを確認した後に本薬を投与する。
(3)本薬の体重別の開始用量および用量調節に関して、添付文書の「用法及び用量に関連する注意」の項にある具体的な記載を参考にする。

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