日経メディカルのロゴ画像

【新薬】ロキサデュスタット(エベレンゾ)
HIFを活性化し腎性貧血を治療する初の経口製剤

2019/11/15
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年9月20日、腎性貧血治療薬ロキサデュスタット(商品名エベレンゾ錠20mg、同錠50mg、同錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「透析施行中の腎性貧血」、用法用量は「(赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合)成人に1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと、(赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合)成人に1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与。患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこと」となっている。

 腎性貧血は、慢性腎臓病(CKD)の代表的な合併症の一つであり、腎での内因性エリスロポエチン産生が低下し、栄養低下、鉄欠乏、出血傾向、赤血球寿命短縮などと相まって引き起こされる。腎性貧血は末期腎不全への病態進行を早め、また心不全の独立した増悪因子であることから、早期発見・治療による生命予後の改善が期待されている。

 現在、腎性貧血の治療としては、エポエチンアルファ(エスポー他)、エポエチンベータ(エポジン)、エポエチンベータペゴル(ミルセラ)、ダルベポエチンアルファ(ネスプ他)といった赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の皮下注・静注製剤が中心的な治療薬となっている。また、ESA投与による相対的な鉄欠乏防止のため、クエン酸第一鉄ナトリウム(フェロミア他)などの鉄製剤も臨床使用されている。

 ロキサデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)の調節酵素であるHIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害することで、転写因子であるHIF-αの分解を抑制してHIF-αを蓄積させ、HIF経路を活性化させる。その結果、生体が低酸素状態に曝露された際に生じる赤血球造血反応と同様に、正常酸素状態でも赤血球造血が刺激され、貧血が改善すると期待されている。

 透析期のCKDに伴う腎性貧血患者を対象とした第3相試験を含む4つの国内臨床試験において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2019年9月現在、中国で承認されており、米国および欧州で承認申請準備中である。

 国内臨床試験において認められた主な副作用(臨床検査値異常を含む)として、嘔吐、下痢、便秘、悪心、腹部不快感、リパーゼ増加、高血圧(各1%以上)などがある。重大な副作用としては、シャント閉塞(1.6%)などの血栓塞栓症(3.4%)が報告されている。

 ESAから切り替える場合の開始用量および投与量調整については、添付文書に具体的記載がある。また、薬剤投与に際しては、2~3日に1回の間隔で週3回投与するとともに、服用を忘れた患者には「次回の服用時間帯と24時間以上間隔があく場合は、直ちに服用すること。一方、次回服用時間帯との間隔が24時間未満であれば服用せず、次回服用時に1回分を服用する(同日に2回分を服用しない)こと」を指導する。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ