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【新薬】サフィナミド(エクフィナ)
非ドパミン作動性作用を併せ持つMAO-B阻害薬

2019/11/08
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年9月20日、パーキンソン病治療薬サフィナミドメシル酸塩(商品名エクフィナ錠50mg)の製造販売が承認された。適応は「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善」、用法用量は「レボドパ含有製剤と併用し、1日1回50mgを経口投与。なお、症状に応じて1日1回100mgも可であるが、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者では1日50mgを超えないこと」となっている。

 パーキンソン病PD)は、静止時振戦、強剛、無動、姿勢反射障害の4大運動症状を特徴とする原因不明の進行性変性疾患であり、自律神経障害、うつ、睡眠障害、認知症などの非運動症状も高頻度に合併する。病理学的には、中脳の黒質線条体ドパミン神経の不可逆的な変性・脱落を特徴としている。

PDの薬物治療として、脳内に不足したドパミンを補充するレボドパ(ドパゾールドパストン)などのL-ドパ含有製剤、麦角系・非麦角系のドパミンD2受容体作動薬(ドパミンアゴニスト)のほか、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬のセレギリン(エフピー他)およびラサギリン(アジレクト)、カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬のエンタカポン(コムタン他)などが臨床使用されている。

 サフィナミドは、既存のセレギリン、ラサギリンに次ぐMAO-B阻害薬であり、α-アミノアミドに分類される新規の化学構造を有する。MAO-B阻害薬は、ドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAO-Bを阻害することで脳内のドパミン濃度を上昇させる薬剤であり、サフィナミドはMAO-B阻害作用に加えて非ドパミン作動性作用(電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介するグルタミン酸放出抑制作用)を併せ持つことが確認されている。また、既存薬のMAO-B阻害機構が非可逆的であることと比較して、サフィナミドは可逆的なMAO-B阻害作用を有することを特徴としている。

 レボドパ含有製剤で治療中のwearing off現象を有するPD患者を対象とした国内第2/3相試験(プラセボを対照とした無作為化二重盲検比較試験)および国内第3相試験(52週間の非盲検長期投与試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2018年8月現在、米国や欧州など17カ国で発売されている。

 薬剤投与による主な副作用(臨床検査値異常を含む)として、ジスキネジア(12.4%)、不眠症、頭痛、浮動性めまい、悪心、便秘、転倒、ALT増加(各1~5%未満)などがある。重大な副作用としては、幻視(3.2%)や幻覚(1.1%)などの神経症状、傾眠(1.9%)、突発性睡眠(0.4%)、衝動制御障害(0.2%)が報告されているほか、セロトニン症候群、悪性症候群を生じる可能性がある。

 薬剤使用に際しては、既存のMAO-B阻害薬と異なり、本薬の適応症が「PDにおけるwearing off」に限定されていること、また、レボドパ含有製剤との併用が必須であることに留意する。

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