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【新薬】ベネトクラクス(ベネクレクスタ)
慢性リンパ性白血病に初のBCL-2阻害薬が登場

2019/11/01
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年9月20日、抗悪性腫瘍薬ベネトクラクス(商品名ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」。用法用量は「用量漸増期は20mg(第1週目)、50mg(第2週目)、100mg(第3週目)、200mg(第4週目)、400mg(第5週目)をそれぞれ1日1回、7日間食後に投与。その後の維持投与期は、1日1回400mgを食後投与。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 慢性リンパ性白血病CLL)は、日本ではまれなB細胞性腫瘍であり、単一な小型円形から軽度の異型を持つリンパ球(CLL細胞)が血液中で過度に増加する。CLL細胞の表面にはCD5 やCD23といった表面抗原の発現が認められている。また、小リンパ球性リンパ腫SLL)は、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の細胞の腫瘍と定義されている。

 日本におけるCLLに対する薬物治療は、フルダラビン(フルダラ)およびシクロホスファミド(エンドキサン)にリツキシマブ(リツキサン他)を併用するFCR療法が標準治療である。近年、再発または難治性のCLLに対して、CD20を標的とする分子標的治療薬オファツムマブ(アーゼラ)、CD52を標的とする分子標的治療薬アレムツズマブ(マブキャンパス)、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(イムブルビカ)などが臨床使用されるようになり、CLL患者の予後改善が進んできた。

 しかし、CLLは薬物療法では治癒が難しく、再発することの多い難治性の血液腫瘍でありながら、海外に比べてCLLに適応を有する薬剤が少なく治療選択肢が限られている。また、既存治療に対して再発または難治性となってしまったCLLは予後不良で、新しい作用機序を有する薬剤が求められている。

 ベネトクラクスは、アポトーシス抑制蛋白質であるB細胞性リンパ腫-2(BCL-2)に高い親和性を有する、BCL-2阻害薬である。CLLではBCL-2が過剰に発現していることが確認されており、CLL細胞の生存は一般にBCL-2に依存するとされている。ベネトクラクスは、BCL-2と直接結合することによりアポトーシス促進性蛋白質を遊離させ、CLL細胞を速やかなアポトーシスに誘導することで、抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。

 非臨床試験では、腫瘍細胞の増殖阻害作用(in vitro)および抗腫瘍作用(in vivo[マウス])が認められた。また、1レジメン以上の前治療歴を有する再発または難治性のCLL患者を対象とした海外第3相試験(MURANO試験;ランダム化非盲検第3相試験)では、ベンダムスチン(トレアキシン)+リツキシマブ併用(BR)療法に対する、ベネトクラクス+リツキシマブ併用(V+R)療法の優越性が確認された。さらに、再発または難治性CLL患者を対象とした国内第1/2相試験(M13-834試験 Arm D)において、V+R療法の有効性および安全性が確認された。海外では、2019年5月現在、欧米など世界68カ国で承認されている。

 投与時の副作用(臨床検査値異常を含む)として、下痢(21.5%)、悪心(16.5%)などが認められている。重大な副作用としては、腫瘍崩壊症候群(3.0%)、好中球減少(57.5%)などの骨髄抑制、感染症(23.0%)が報告されている。

 なお本薬は、リツキシマブの投与が困難な場合を除き、維持投与期の開始からリツキシマブと併用投与する。

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