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【新薬】アジスロマイシン(アジマイシン)
国内で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬

2019/09/27
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年9月11日、抗菌点眼薬アジスロマイシン水和物(商品名アジマイシン点眼液1%)が発売された。本薬は、6月18日に製造販売が承認され、9月4日に薬価収載された。適応は「〈適応菌種〉アジスロマイシン感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、コリネバクテリウム属、インフルエンザ菌、アクネ菌。〈適応症〉結膜炎、眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎」、用法用量は「1回1滴、1日2回2日間で開始し、その後、1日1回5日間(成人及び7歳以上の小児における結膜炎)、1日1回12日間(成人の眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎)点眼する」となっている。

 眼科領域における感染症の点眼治療では、患者背景や感染症経路、臨床上の特徴的所見などから起因菌を推定し、抗菌スペクトルが広く眼内移行性が比較的高いキノロン系抗菌点眼薬による、エンピリックセラピーが数多く実施されている。しかしながら、抗菌薬使用にあたっては、投与経路を問わず同系統の抗菌薬を使用し続けることによる交差耐性の発現が懸念されており、近年は眼科領域でも、キノロン系抗菌薬に対する耐性化が課題となっている。特に抗菌点眼薬は、内服および注射薬と比較して系統の選択肢が限られているのが現状である。

 現在、抗菌点眼薬として使用可能な主な系統は、レボフロキサシン(クラビット他)などのキノロン系、セフメノキシム(ベストロン)などのセフェム系、トブラマイシン(トブラシン)などのアミノグリコシド系、クロラムフェニコールなどのクロラムフェニコール系、ポリペプチド系のコリスチンとクロラムフェニコールの配合薬(オフサロンコリナコール)がある。

 アジスロマイシンは、細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、細菌のタンパク合成を阻害することで抗菌作用を示す15員環のマクロライド系抗菌薬である。既に経口製剤および注射製剤(ジスロマック他)として、肺炎などの感染症治療に広く臨床使用されている。

 日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬となるアジマイシンは、添加剤として両親媒性の合成高分子化合物ポリカルボフィルが配合されたDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)製剤であり、動物実験(ウサギ)において結膜、角膜、眼瞼への良好な移行性および滞留性が確認された。また、(最初の2日間を過ぎれば)1日1回投与のため、既存の抗菌点眼薬と比べて投与回数が少ないことから、患者のアドヒアランス向上が期待されている。

 国内第3相試験(〈結膜炎〉プラセボ対照、19歳以上の細菌性結膜炎患者および7歳以上の細菌性結膜炎患者を対象、〈眼瞼炎、⻨粒腫、涙嚢炎〉非対照、19歳以上の細菌性眼瞼炎、⻨粒腫および涙嚢炎患者を対象)において、有効性と安全性が確認された。海外では、2007年4月に米国で承認されて以降、2019年6月現在、米国、韓国、カナダの3カ国で承認されている。

 臨床試験などにおいて、眼刺激、眼そう痒症(各1~5%未満)などの副作用が認められている。重大な副作用としては、角膜潰瘍等の角膜障害、ショック、アナフィラキシーを生じる可能性がある。

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