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【新薬】ブデソニド・グリコピロニウム・ホルモテロール(ビレーズトリ)
pMDI式の3剤配合COPD治療薬が登場

2019/09/13
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年9月4日、慢性閉塞性肺疾患治療薬ブデソニドグリコピロニウム臭化物・ホルモテロールフマル酸塩水和物(商品名ビレーズトリエアロスフィア56吸入)が薬価収載と同時に発売された。本薬は、6月18日に製造販売が承認された。規格は、1回噴霧量としてブデソニド(BD)160μg、グリコピロニウム(GP)7.2μg、ホルモテロールフマル酸塩(FF)4.8μgを含有しており、加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)による吸入薬である。適応は「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入抗コリン薬及び長時間作用性吸入β2刺激薬の併用が必要な場合)」、用法用量は「成人、1回2吸入を1日2回」となっている。なお、本薬の成分のGPとFFを同容量で含有する吸入配合製剤(ビベスピエアロスフィア28吸入)も同時に薬価収載・発売された。

 慢性閉塞性肺疾患COPD)は、喫煙習慣が主な原因となって進行性の気流閉塞を呈し、臨床的には労作時の呼吸困難と慢性の咳、痰といった症状を特徴とする、肺の生活習慣病である。高齢者の罹患割合が高く、疾患が進行すると酸素吸入が必要となることから、QOLが著しく低下し、生命予後も悪化する。国内外でCOPDに関するいくつかのガイドラインが公表されているが、日本では日本呼吸器学会が「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2018[第5版]」を2018年に公表している。

 COPDの安定期薬物療法としては、ウメクリジニウム(エンクラッセ)、チオトロピウム(スピリーバ)、グリコピロニウム(シーブリ)、アクリジニウム(エクリラ)などの長時間作用性抗コリン薬LAMA)や、サルメテロール(セレベント)、ホルモテロール(オーキシス)、インダカテロール(オンブレス)などの長時間作用性β2刺激薬LABA)といった気管支拡張薬(吸入製剤)が、患者の重症度により段階的に使用されている。単剤で治療効果不十分な場合やより重症な場合には、2剤以上を併用する。

 近年、患者の利便性が向上したLAMA/LABA配合製剤として、スピオルトアノーロウルティブロが臨床使用されている。また、喘息の合併が考えられる場合には吸入ステロイド薬ICS)の併用が推奨されており、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アニュイティ)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルタイド)、ベクロメタゾン(キュバール)、ブデソニド(パルミコート)、シクレソニド(オルベスコ)、モメタゾン(アズマネックス)などがある。

 ビレーズトリは、LAMAのグリコピロニウム(GP)とLABAのホルモテロール(FF)の配合製剤(ビべスピ)に、ICSのブデソニド(BD)を追加した3成分(BD/GP/FF)配合のCOPD治療薬である。ICS/LAMA/LABA配合製剤としては、2019年3月に承認されたフルチカゾンフランカルボン酸エステル・ウメクリジニウム・ビランテロール配合製剤(テリルジー)に次ぐ製剤である。なお、ビレーズトリの有効成分のうち、同成分のICS/LABA配合製剤(シムビコート)も、気管支喘息およびCOPDの治療薬として臨床使用されている。

 今回発売されたビレーズトリおよびビベスピは、吸入デバイスとして努力呼吸を必要としないpMDIを用いている。吸気力が低下して十分な吸気流量が得られにくい患者でも少ない負担で吸入可能となり、薬剤が一定かつ速やかに肺に到達するとされている。3つの薬剤を多孔性粒子である担体に接着させた製剤で、この多孔性粒子は肺サーファクタントと同様のリン脂質で構成されていること、さらに薬剤結晶より比重が軽いことから、肺や気道表面に吸着しやすく、肺全体へ薬剤が送達されることが期待されている。

 安定期管理薬として吸入薬を2種以上使用している、日本人を含むCOPD患者を対象とした第3相国際共同臨床試験(KRONOS試験)において、GP/FFおよびBD/FFに対する優越性と安全性が確認された。海外では、2019年6月現在、本薬が発売されている国および地域はない。なお、2019年6月18日に製造販売が承認された、長期使用が可能な120吸入製剤については、今回薬価収載および発売はされていない。

 国内外の臨床試験で認められた主な副作用として、口腔カンジダ、発声障害、筋痙縮(各1%以上)などがある。重大な副作用としては心房細動(0.2%)のほか、重篤な血清カリウム値の低下を生じる可能性がある。患者には他の配合製剤と同様に、増悪時の急性期治療を目的とした治療薬ではないこと、各薬剤で単独投与時に確認されている副作用に注意するとともに、特に過度の使用により不整脈や心停止などの重大な副作用の発現する危険性があることを十分理解させ、1日2回、できるだけ同じ時間帯に吸入するよう指導する必要がある。

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