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【新薬】デフィブロチド(デファイテリオ)
肝類洞閉塞症候群治療薬が国内初承認

2019/08/09
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年6月18日、肝類洞閉塞症候群治療薬デフィブロチドナトリウム(商品名デファイテリオ静注200mg)の製造販売が承認された。適応は「肝類洞閉塞症候群(肝中心静脈閉塞症)」、用法用量は「1回6.25mg/kgを1日4回、2時間かけて静注」となっている。

 肝類洞閉塞症候群SOS;別名、肝中心静脈閉塞症VOD])は、主に同種造血幹細胞移植後の合併症や、化学療法後および放射線照射後の合併症の1つとして知られており、有痛性の肝腫大、黄疸、非心原性の浮腫などの症状を臨床的特徴とする。重症の場合は、多臓器不全を伴うことで高率で死に至る重篤な疾患で、支持療法、抗凝固療法、線溶療法を中心とした治療が行われている。しかし、国内ではSOS(VOD)に対して適応を有する治療薬がなく、有効な治療法が確立されていなかった。

 デフィブロチドナトリウムは、ブタ腸粘膜由来のポリデオキシリボヌクレオチドナトリウム(脱重合したDNA)であり、作用機序は明確ではないものの、凝固・線溶系の各種因子に影響を及ぼすことで、血管内皮細胞保護作用を有すると推測されている。本薬は国内で初となるSOS(VOD)治療薬であり、欧米では唯一のSOS(VOD)治療薬としてガイドラインなどで第一選択薬として推奨されている。

 造血幹細胞移植後のSOS(VOD)患者を対象とした国内第2相試験、および重症SOS(VOD)患者を対象とした海外第3相試験において、本薬の有効性と安全性が確認された。海外では、2013年に欧州で承認されて以降、2019年3月現在、世界35カ国で販売されている。日本では、日本造血細胞移植学会から厚生労働省に早期開発・承認の要望書が提出されており、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて高い評価を受けたことで、開発が進み今回の承認に至った。また、本薬は2019年5月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 本薬投与による主な副作用として、鼻出血(8.3%)、処置後出血(5.0%)、凝血異常、結膜出血、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、血尿、呼吸不全、血胸、発疹、そう痒症、カテーテル留置部位出血(各1%以上)などが報告されている。また、重大な副作用としては、低血圧(5.8%)、ショック、アナフィラキシー、出血を生じる可能性がある。

 薬剤使用に際しては、以下の事項について注意する。
(1)本薬の投与期間は21日間以上を目安として、SOS(VOD)の徴候および症状が回復するまで継続するが、薬剤投与によるリスクを考慮して継続の可否を慎重に判断すること。
(2)本薬投与前24時間以内は、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、t-PA製剤)を投与しないこと。
(3)本薬投与前12時間以内は、ヘパリン製剤を投与しないことが望ましい。
(4)本薬投与後24時間以内は、血栓溶解薬およびヘパリン製剤を投与しないことが望ましい。
(5)大量出血リスクを伴う外科的手術または侵襲的手法を施行する患者には、本薬の投与を一時的に中断すること。

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