2019年6月18日、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬ラブリズマブ(商品名ユルトミリス点滴静注300mg)の製造販売が承認された。適応は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」、用法用量は「成人に、以下の体重により初回2400~3000mgを開始用量とし、初回投与2週後に1回3000~3600mg、以降8週ごとに1回3000~3600mgを点滴静注(40kg以上60kg未満:初回2400mg、2回目以降1回3000mg、60kg以上100kg未満:初回2700mg、2回目以降1回3300mg、100kg以上:初回3000mg、2回目以降1回3600mg)」となっている。

 発作性夜間ヘモグロビン尿症PNH)は、造血細胞の後天的遺伝子変異により、補体による血管内溶血が起こる希少血液疾患であり、国の指定難病となっている。症状としてヘモグロビン尿、貧血による全身倦怠感、動悸、息切れなどを呈する。治療が行われなければ、汎血球減少に伴う出血や感染症が起こるほか、血栓症など様々な消耗性の症状と合併症が全身に生じ、脳梗塞や心臓発作など致死的な臓器障害から早期死亡に至るケースも報告されている。平均発症年齢は30歳代前半だが、20~60歳代まで満遍なく発症し、患者の男女比はほぼ1:1である。

 PNHに対する治療は、骨髄移植が唯一の根治療法であり、さらに輸血やステロイド薬投与などの対症療法が行われてきた。2010年6月から、抗補体(C5)モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス)が臨床使用されるようになり、治療効果が飛躍的に向上した。しかし、一部の患者では、エクリズマブの持続的な補体阻害効果が得られず、PNH関連症状(溶血リスクや血栓塞栓の発症リスクの増大)が残ることが報告されており、PNH治療の大きな課題となっていた。

 ラブリズマブはエクリズマブの誘導体であり、補体C5に高い親和性をもって特異的に結合し、C5a(炎症誘発性アナフィラトキシン)およびC5b(終末補体複合体[C5b-9]の開始サブユニット)への開裂を阻害するヒト化モノクローナル抗体である。2週間隔で投与するエクリズマブと類似した安全性プロファイルを有しつつ、PKトラフ回数が少なくなるようにPK/PDプロファイルが改良されていることから、8週間隔での投与が可能となった長時間作用型抗補体(C5)抗体である。

 2つの第3相国際共同臨床試験(エクリズマブ未治療のPNH患者を対象としたALXN1210-PNH-301試験、エクリズマブにより血管内溶血が抑制されているPNH患者を対象としたALXN1210-PNH-302試験)において、エクリズマブに対する非劣性が検証され、有効性と安全性が確認された。海外では、2018年12月に米国で承認されている。日本では、2018年9月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 日本人患者を含む臨床試験において、副作用が39.2%に認められている。主なものは頭痛(17.1%)、悪心(3.2%)、発熱(2.7%)、上気道感染(2.7%)、疲労(2.3%)などであり、重大な副作用として髄膜炎菌感染症、infusion reactionが報告されている。

 薬剤使用に際しては、エクリズマブと同様に、厚生労働省から「投与中の髄膜炎菌感染症の発症」に対する注意喚起が行われていることに十分留意する。初期徴候に注意し、患者にも初期徴候を確実に理解させる。また原則、投与開始の少なくとも2週間前までに髄膜炎菌ワクチンを接種することとなっている。