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【新薬】インスリン デグルデク/リラグルチド(ゾルトファイ)
国内初、インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合注射製剤

2019/07/26
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2019年6月18日、糖尿病治療薬インスリン デグルデク/リラグルチド配合注射製剤(商品名ゾルトファイ配合注フレックスタッチ)の製造販売が承認された。適応は「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」、用法用量は「成人、初期は1日1回10ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36mg)を皮下注。1日50ドーズを超えない範囲で適宜増減し、注射時刻は原則として毎日一定とする」となっている。

 日本では糖尿病の罹患患者の約90%が2型糖尿病であり、近年の生活習慣や社会環境の変化に伴い、2型糖尿病患者数は増加傾向にある。2型糖尿病は進行性の代謝疾患であり、ライフスタイルの改善と薬物療法の組み合わせによる段階的な治療アプローチが必要とされている。

 具体的には、1剤から治療を開始し、経口糖尿病薬の多剤併用療法、経口糖尿病薬と注射製剤であるGLP-1受容体作動薬またはインスリンとの併用療法、あるいはインスリンとGLP-1受容体作動薬との併用療法の導入を検討する。中でも、基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬との併用療法は、日本および欧米の糖尿病学会のガイドラインにおいて、標準治療の選択肢の1つとして推奨されている。しかし、併用療法では1日数回の投与(注射)が必要な場合もあり、こうした治療の複雑さが長期にわたる治療継続に影響を及ぼす可能性が懸念されている。

 ゾルトファイは、国内初となるインスリンとGLP-1受容体作動薬の配合皮下注射製剤であり、基礎インスリン製剤である持効型溶解インスリンアナログのインスリン デグルデク(トレシーバ)と、ヒトGLP-1アナログのリラグルチド(ビクトーザ)を固定比率で配合している。

 インスリン デグルデクは、皮下組織において可溶性で安定なマルチヘキサマーを形成し、一時的に注射部皮下組織に留まる。このマルチヘキサマーからモノマーが徐々に解離し、インスリンが緩徐かつ持続的に血中に吸収されることで、グルコース代謝の調節作用を示す。また、リラグルチドはインクレチンホルモンであるGLP-1のアナログとして、グルコース濃度依存的に膵β細胞からインスリン分泌を促進させるとともに、グルコース濃度依存的にグルカゴン分泌を抑制する作用を示す。

 ゾルトファイは、1日1回の注射での併用療法が可能となった配合製剤であり、インスリン療法での低血糖発現リスクや体重増加などが抑制されることや、リラグルチド単独療法時と比べて用量漸増が緩徐になることから、胃腸障害の発現頻度が抑制されることなどが期待されている。

 2つの国内第3相臨床試験(DUAL I Japan試験[対象:経口糖尿病薬単剤で治療中の2型糖尿病患者]およびDUAL II Japan試験[対象:経口糖尿病薬およびインスリンで治療中の2型糖尿病患者])から、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2014年9月にスイスで承認されて以降、2019年6月現在、世界34カ国で発売されている。

 国内の第3相臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が33.2%に認められている。主なものは便秘(7.4%)、下痢(4.7%)、悪心(4.2%)、糖尿病網膜症(2.9%)、腹部不快感(2.4%)などであり、重大な副作用として低血糖、アナフィラキシーショック、膵炎、腸閉塞を生じる可能性がある。

 本薬の使用開始にあたっては、食事療法・運動療法に加え、糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合に使用を検討することに留意する。

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