2019年5月22日、pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤(商品名ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL、同10%点滴静注10g/100mL、同10%点滴静注20g/200mL)が薬価収載された。本薬は、3月26日に製造販売が承認された。適応は「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の(1)筋力低下の改善、(2)運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」、用法用量は「(1)成人、1日400mg/kgを5日間連日点滴静注、(2)成人、1日1000mg/kgを1日又は500mg/kgを2日連日、いずれも3週間隔で点滴静注」となっている。

 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎CIDP)は、後天性の脱髄性神経障害であり、自己免疫を介して発症すると考えられている。主に対称性の運動性・感覚性の徴候、および症状の進行または再発が特徴であり、2カ月以上にわたり2肢以上で発症する。日本では指定難病に指定されており、罹患患者は女性よりも男性に多い傾向にある。

 CIDPの治療は、静注用人免疫グロブリン製剤(IVIG)、ステロイド製剤、血液浄化療法などが第一選択だが、中でも国内外のガイドラインでは、速効性や簡便性、忍容性などの観点から、IVIGの使用が推奨されている。現在、CIDPに適応を有するIVIGとしては、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン(献血ヴェノグロブリンIH) 、乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン(献血グロベニン-I)などがある。

 ピリヴィジェンは、ヒト由来の血漿を原料とし、エタノール分画工程で得たIgG 画分をpH4処理した、液状のIVIGである。なお、同じくCIDP(運動機能低下の進行抑制)に適応を有し、患者の自己注射および在宅投与が可能な同一成分・高濃度(20%)の皮下注製剤(ハイゼントラ)も臨床使用されている。

 外国人CIDP患者を対象とした海外第3相試験(PRIMA試験)、および日本人を含むCIDP患者を対象とした国際共同第3相試験(PATH試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、CIDPを適応として、2013年3月にEUで承認されて以来、米国やEUなど世界60カ国以上(2019年3月現在)で承認されている。なお本薬は、2019年4月に「無又は低ガンマグロブリン血症」の適応追加の申請を行っている。

 国内外での第3相臨床試験で副作用が32.8%に認められている。主なものは頭痛(12.8%)、溶血(4.7%)、悪心(4.3%)、高血圧(3.4%)、無力症(2.1%)などであり、重大な副作用として溶血性貧血(0.4%)、血栓塞栓症(0.4%)、急性腎障害(0.4%)が報告されているほか、アナフィラキシー反応、無菌性髄膜炎症候群、肺水腫、血小板減少、肝機能障害、黄疸を生じる可能性があるので注意が必要である。