2019年5月22日、関節リウマチ治療薬ペフィシチニブ臭化水素酸塩(商品名スマイラフ錠50mg、同錠100mg)が薬価収載された。本薬は3月26日に製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」、用法用量は「1日1回150mgを経口投与。なお、患者の状態に応じて1日1回100mg投与も可能」となっている。

 関節リウマチRA)は慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約60~100万人、世界には2000万人以上の患者がいると推定されている。RAの症状は手と足に現れることが典型的だが、滑膜のある関節で発症する可能性がある。

 RAの薬物治療は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)が中心となるが、発症の初期段階ではメトトレキサート(MTX;リウマトレックス他)や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の使用が基本となる。これらの治療で効果不十分な症例には、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブ(ゼルヤンツ)、バリシチニブ(オルミエント)といった低分子標的薬や、キメラ型抗腫瘍壊死因子(TNF)αモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(レミケード他)、可溶性TNFレセプターとヒトIgGとの融合蛋白であるエタネルセプト(エンブレル他)、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤のアダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、ペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab'断片製剤のセルトリズマブ(シムジア)、T細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプト(オレンシア)、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬のトシリズマブ(アクテムラ)、サリルマブ(ケブザラ)といった生物学的製剤が用いられている。

 ペフィシチニブは、トファシチニブおよびバリシチニブに次ぐ3番目のJAK阻害薬であり、細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種であるJAKを阻害することで炎症を抑制する。一般的にJAKは、RAにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、細胞内のシグナル伝達回路(JAK pathway)を阻害することで、抗炎症作用を発揮する。JAKには4種類のサブタイプ(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)があり、サイトカイン受容体ごとに異なる種類のJAKが会合している。ペフィシチニブは4種のサブタイプのいずれに対しても阻害活性を有する。

 MTXなどのDMARDに対して効果不十分なRA患者を対象として日本などで行われた国際共同第3相試験(単剤もしくはDMARD併用でのプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験[CL-RAJ3試験])、MTXに対して効果不十分なRA患者を対象とした国内第3相試験(MTX併用でのプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験[CL-RAJ4試験])において、投与12週後のACR20%改善率(米国リウマチ学会[ACR]が提唱する抗リウマチ療法に対する評価基準)がプラセボ群に対して優越性を示し、安全性も確認された。

 国内外臨床試験(後期第2相試験、第3相試験および継続投与試験)において、副作用が77.0%に認められている。主なものは上咽頭炎(28.1%)、帯状疱疹(12.9%)、血中CK増加(9.3%)などであり、重大な副作用として好中球減少症(0.5%)、リンパ球減少症(5.9%)、ヘモグロビン減少(2.7%)、消化管穿孔、間質性肺炎(各0.3%)、感染症、肝機能障害、黄疸が報告されている。

 本薬投与に際しては、中等度の肝機能障害患者に対して副作用が強くあらわれる可能性があるので、本薬の有効性および安全性を十分理解し、投与の必要性を慎重に検討した上で、投与する場合は1日1回50mgとする。また、免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することから、これまでのJAK阻害薬2剤と同様に、本薬とTNFα阻害薬、IL-6阻害薬、T細胞選択的共刺激調節薬などの生物学的製剤や、他のJAK阻害薬などの強力な免疫抑制薬との併用はしないこととなっている。