2019年5月29日、アデノシンデアミナーゼ欠損症治療薬エラペグアデマーゼ(商品名レブコビ筋注2.4mg)が発売された。本薬は、3月26日に製造販売が承認され、5月22日に薬価収載された。適応は「アデノシンデアミナーゼ欠損症」、用法用量は「1週間に1回0.2mg/kgを筋注。患者の状態に応じて適宜増減するが、1回最大量は0.3mg/kg。ただし、速やかにアデノシンデアミナーゼ活性を上昇させる必要がある場合には、1回0.2mg/kgを1週間に2回筋注が可能」となっている。

 アデノシンデアミナーゼADA欠損症は、遺伝子変異により核酸代謝酵素のADAが欠損する、極めて稀な常染色体劣性遺伝子疾患であり、厚生労働省の指定難病「原発性免疫不全症候群」に分類されている。ADAが欠損することにより全身性の代謝障害が起こるが、特に未熟なリンパ球に対し細胞毒として作用し、その結果、免疫細胞のT細胞、B細胞、NK細胞が減少し、重度の免疫不全状態が生じることで易感染性や成長障害などを引き起こす。ADA欠損症の診断時の平均年齢は生後4.4カ月であり、ADA欠損症の約85~90%は免疫不全を呈する。重症な免疫不全を示すADA欠損症の予後は不良で、1歳前後までにほとんどの患者が重症感染症で死亡する。

 ADA欠損症に対する治療法としては、造血幹細胞移植が根本治療として第一選択となっており、実際の臨床現場では、合併する感染症に対する治療とともに造血幹細胞移植が行われている。また、米国では造血幹細胞移植の他に、最近では遺伝子組換えで作製したアデノシンデアミナーゼをポリエチレングリコール(PEG)で化学修飾したPEG-rADAであるレブコビが承認され、ADA酵素補充療法として使われるようになってきた。

 日本ではADA酵素補充療法が未承認であったことから、日本先天代謝異常学会から厚生労働省に早期開発・承認の要望書が提出され、その後、「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」(2014年1月)において医療上の必要性が高い薬剤として判断され、レブコビの承認に至った。ADA欠損患者を対象として非盲検非対照で行われた米国および日本での各第3相臨床試験から、本薬の有効性(ADA活性の上昇と免疫機能の改善)と安全性が確認された。なお、本薬は2016年3月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 評価症例が少ないものの、承認時までの日本における臨床試験においては、副作用は認められていない。ただし、米国での臨床試験では注射部位不快感が報告されている。

 薬剤使用時の用法用量に関しては、以下の注意喚起がなされていることに留意する必要がある。
(1)投与中は、血清中ADA活性値、リンパ球数等の免疫に関する臨床検査値、臨床症状等を定期的に確認し、患者の状態に応じて投与量を調節すること。投与量の調節については、原則として、4週ごとに検討することとし、1回0.033mg/kgまでの範囲で増減する。
(2)通常、投与は1週間に1回であるが、免疫不全症状が重度であり、速やかにADA活性を上昇させる必要性がある場合のみ、1回最大量0.2mg/kgとした上で、投与回数を週2回(3~4日に1回:1週あたりの最大投与量0.4mg/kg)にすることができる。