2019年3月4日、骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ(商品名イベニティ皮下注105mgシリンジ)が発売される。本薬は1月8日に製造販売が承認され、2月26日に薬価収載されていた。適応は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」、用法用量は「成人、1カ月に1回210mg(シリンジ2本)、12カ月間皮下注」となっている。

 骨粗鬆症は、加齢などにより骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、相対的に骨吸収が優位になることで骨量の減少が起こり、さらに骨微細構造の変化により骨強度が低下することで、骨折が起こりやすくなる疾患である。近年、高齢化の急速な進展に伴い、骨粗鬆症患者数は増加傾向にある。骨粗鬆症が進行すると寝たきりの原因になるなど、患者のQOL低下につながることから、薬物治療をはじめとする早期治療が必要不可欠である。

 骨粗鬆症の治療薬は、活性化ビタミンD製剤の他に、骨吸収抑制薬としてビスホスホネート製剤、ラロキシフェン(エビスタ他)やバゼドキシフェン(ビビアント)などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、また骨形成促進薬としてテリパラチド酢酸塩(テリボン)およびテリパラチド(フォルテオ)といったヒト副甲状腺ホルモン(PTH)製剤などが、国内のガイドラインにおいて推奨されている。中でもPTH製剤は、骨形成細胞(骨芽細胞)機能が活性化されて破骨細胞機能を上回ることから、骨新生を誘発する効果が認められている。骨密度の極度な低下など、骨粗鬆症による脆弱性骨折のリスクが高い患者に対して使用でき、迅速かつ強力に骨を再構築する薬剤として評価されている。

 ロモソズマブは、スクレロスチンを阻害するヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体であり、既存の薬剤とは異なる作用機序を有する。骨細胞によって骨内部で産生される糖タンパク質であるスクレロスチンは、骨芽細胞による骨形成を抑制するとともに、破骨細胞による骨吸収を刺激する。本薬は、このスクレロスチンに結合して阻害することで、骨形成を促進するとともに骨吸収を抑制する。これにより、海綿骨および皮質骨の骨量が急速に増加し、骨の構造および強度が向上することで、骨折リスクが低下すると推測されている。

 閉経後骨粗鬆症患者および男性骨粗鬆症患者を対象とした主要な国際共同第3相試験(対照:プラセボ)で、ロモソズマブの有効性と安全性が確認され、今回、海外に先駆けて承認された。

 主要な国際共同第3相試験から、副作用(臨床検査値異常を含む)が16.4%に認められている。主なものとして関節痛(1.9%)、注射部位疼痛(1.3%)、注射部位紅斑(1.1%)、鼻咽頭炎(1.0%)などがあり、重大な副作用は低カルシウム血症、顎骨壊死・顎骨骨髄炎、大腿骨転子下および近位大腿骨骨幹部の非定型骨折を生じる可能性がある。

 なお、本薬投与中は適切なカルシウムおよびビタミンDの補給を行う。また、重度の腎機能障害患者あるいは透析を受けている患者は、低カルシウム血症が発現しやすいので慎重に投与する。本薬の12カ月間の投与終了後は、原則として適切な骨粗鬆症薬による治療を継続することに留意する。