2019年1月8日、高血圧症治療薬エサキセレノン(商品名ミネブロ錠1.25mg、同錠2.5mg、同錠5mg)の製造販売が承認された。適応は「高血圧症」、用法用量は「成人、1日1回2.5mgを経口投与。効果不十分な場合は5mgまで増量可」となっている。

 ただし、本薬の投与時には、「血清カリウム値が5.0mEq/Lを超えた場合には減量を考慮し、5.5mEq/L以上の場合は減量ないし中止し、6.0mEq/L以上の場合には直ちに中止する」ことに注意する。また、中等度の腎機能障害(eGFR 30mL/分/1.73m2以上60mL/分/1.73m2未満)のある患者や、アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者に対して本薬を使用する場合は、「1.25mgを1日1回投与から開始し、血清カリウム値など患者の状態に応じて、投与開始から4週間以降を目安に2.5mgを1日1回投与へ増量。効果不十分な場合は、5mgまで増量可」となっている。

 高血圧症治療の目的は、高血圧の持続によってもたらされる心血管病の発症・進展・再発を抑制し、死亡を減少させることである。また、高血圧症患者が健常者と変わらない日常生活を送れるように支援することも重要である。そのため、高血圧症治療としては、日常的な非薬物療法(生活習慣の修正など)を基本とした上で、血圧レベルが高くなるごとに降圧薬を追加していく薬物治療を行う。

 国内の高血圧治療ガイドラインでは、カルシウム(Ca)拮抗薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬(アンジオテンシン2受容体拮抗薬[ARB]、アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬)、利尿薬(サイアザイド系およびサイアザイド類似利尿薬)、β遮断薬が主要な降圧薬とされている。降圧薬1剤のみで降圧目標が到達できない場合には、作用機序が異なる降圧薬の併用(配合製剤を含む)が推奨されている。

 降圧薬の中でも、体液量の恒常性の維持に関与するアルドステロンの作用に拮抗するミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は、MRが関与する病態の高血圧症(低レニン性高血圧症、治療抵抗性高血圧症、心疾患合併高血圧症など)に対する有用性が、国内のガイドラインでも認められている。

 現在、MR拮抗薬としてスピロノラクトン(アルダクトンA他)とエプレレノン(セララ)が臨床使用されている。スピロノラクトンは、MR阻害作用は強いものの、MR選択性が低いことから、性ホルモンを介した副作用(女性型乳房、月経異常など)が報告されている。エプレレノンはMR選択性が高く、性ホルモン受容体関連の副作用が軽減された薬剤であるが、中等度以上の腎障害患者、微量アルブミン尿または蛋白尿を伴う糖尿病患者への投与は禁忌となっている。

 エサキセレノンは、MRに選択的に結合してMRの活性化を阻害する、非ステロイド型のMR拮抗薬である。MR選択性が高い既存のMR拮抗薬であるエプレレノンを対照とした国内第3相試験(対象:1度または2度の本態性高血圧症患者)において、エプレレノンに対する非劣性が確認された。さらに、特別な患者集団(3度高血圧症患者、原発性アルドステロン症患者、中等度腎機能障害のある高血圧症患者、アルブミン尿を有する2型糖尿病を合併する高血圧症患者)を対象とした国内第3相試験で、本薬の有効性や安全性が確認された。2019年1月現在、海外では承認されていない。

 国内第3相試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が13.0%に認められている。主なものは血清カリウム値上昇(4.1%)、血中尿酸増加(1.4%)、高尿酸血症(1.0%)などであり、重大な副作用としては高カリウム血症が報告されている。