2019年1月8日、βラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤タゾバクタムナトリウム/セフトロザン硫酸塩(商品名ザバクサ配合点滴静注用)の製造販売が承認された。適応は「(1)膀胱炎、腎盂腎炎、(2)腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍」、用法用量は「成人1回1.5gを1日3回60分かけて点滴静注。なお、(2)に関してはメトロニダゾール注射液(アネメトロ)と併用」となっている。

 尿路感染症UTI)は、明らかな基礎疾患が認められない単純性UTIと、基礎疾患が認められる複雑性UTIとに分類され、主に膀胱炎と腎盂腎炎がある。このうち複雑性UTIは、再発や再燃を繰り返し、難治性であることが多い。また、腹腔内感染症IAI)は、消化管穿孔などにより消化管内の細菌が腹腔内の組織に感染し、腹膜炎や腹腔内膿瘍などを発症する感染症で、しばしば重症化する。

 UTIおよびIAIでは血流感染を起こしやすく、時に重症化して敗血症などに進展することから、中等症から重症の患者では早期の適切な抗菌薬治療が必要とされている。また近年、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌や緑膿菌などの耐性菌による、難治性の感染症の出現が問題となっている。

 ザバクサ(1.5g/バイアル)は、既存のβラクタマーゼ阻害薬タゾバクタム(TAZ)と新規セフェム系薬セフトロザン(CTLZ)を、TAZ:CTLZの力価比1:2の割合で配合した抗生物質である。セフトロザンは、細菌のペニシリン結合タンパク質(PBP)に作用し、細胞壁合成を阻害することで殺菌作用を示す。また、タゾバクタムはβラクタマーゼを不可逆的に阻害することで、セフトロザンが加水分解されることを防ぐ作用を有する。

 ザバクサは、レンサ球菌属などのグラム陽性菌、腸内細菌科細菌(大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属など)および緑膿菌などのグラム陰性菌に対して、幅広い抗菌活性を示すことが確認されている。βラクタマーゼ阻害薬タゾバクタムを含有する薬剤としては、タゾバクタムとペニシリン系薬ピペラシリン(PIPC)をTAZ:PIPCの力価比1:8の割合で配合したゾシンが臨床使用されている。

 国内第3相試験では、UTIおよびIAI(メトロニダゾール併用)に対して高い有効性(細菌学的効果および臨床効果)を示した。海外では、2014年12月に米国で、2015年9月にEUで承認されたのをはじめ、世界65の国および地域(2018年9月現在)で承認されている。

 国内外の臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が9.3~18.2%認められている。主なものは下痢、AST増加、ALT増加などであり、重大な副作用としてはショック、アナフィラキシー、クロストリジウム・ディフィシル大腸炎、急性腎障害を生じる可能性がある。