2019年1月8日、抗ウイルス化学療法薬ソホスブビル/ベルパタスビル(商品名エプクルーサ配合錠)の製造販売が承認された。1錠中にソホスブビル/ベルパタスビルを400mg/100mg含有する。適応は「(1)前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善、(2)C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」、用法用量は「(1)リバビリンとの併用において1日1回1錠を24週間投与。(2)1日1回1錠を12週間投与」となっている。

 日本は、主にC型肝炎ウイルスHCV)を主原因とする肝臓癌の発生率が最も高い国の1つと言われている。HCV感染者数は、世界で1億7000万人、日本では150万~200万人と推定されている。HCVはジェノタイプ1~6に分類されており、日本では約70%がジェノタイプ1とされる。その他、約30%がジェノタイプ2、約2%がジェノタイプ3~6に感染していると推定される。

 日本における肝硬変の成因としても、C型肝炎ウイルスが多くを占めているのが現状である。肝硬変の病期は、肝不全症状の有無により代償性肝硬変と非代償性肝硬変に分類される。具体的には、脱水、黄疸、下肢浮腫、肝性脳症などの肝機能低下や門脈圧亢進症による症状が認められない場合を代償性肝硬変、1つでも認められる場合を非代償性肝硬変と呼ぶ。

 C型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変の治療としては、従来からインターフェロン(IFN)製剤とリバビリン(RBV;コペガスレベトール他)との併用療法が推奨されてきた。近年、IFNを必要としないIFNフリー療法として、持続的ウイルス陰性化(SVR)率を向上させた直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で作用点が異なる薬剤同士の併用療法が登場し、治療効果も飛躍的に向上してきている。

 DAAによる治療では、HCVの複製に必須の蛋白である非構造蛋白5A(NS5A)の機能を阻害するNS5A阻害薬ダクラタスビル(ダクルインザ)およびエルバスビル(エレルサ)、非構造蛋白5B(NS5B)RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するNS5Bポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル(ソバルディ)、非構造蛋白3/4A(NS3/4A)プロテアーゼの活性部位において基質の結合を競合的に阻害するNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬シメプレビル(ソブリアード)、グラゾプレビル(グラジナ)、アスナプレビル(スンベプラ)などの併用や、レジパスビル・ソホスブビル配合剤(ハーボニー)、グレカプレビル・ピブレンタスビル配合剤(マヴィレット)などの配合製剤による治療が標準的である。

 以上のように、C型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変の治療成績は改善してきたものの、C型非代償性肝硬変については現時点まで承認された治療薬がなく、既存のDAA治療不成功の症例に対する治療の選択肢も限られていた。

 エプクルーサは、既存のNS5Bポリメラーゼ阻害薬ソホスブビルと新規のNS5A阻害薬であるベルパタスビルを含有したHCV RNA合成を阻害するDAAの配合製剤であり、C型非代償性肝硬変を伴う慢性C型肝炎ウイルス感染症に対しては日本で初となる薬剤である。

 国内第3相試験において、既存のDAAによる治療歴を有するC型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変患者に対するリバビリン併用時と、C型非代償性肝硬変患者に対するリバビリン併用/非併用時において、エプクルーサの有効性と安全性が確認された。海外では、2018年9月現在、米国、欧州連合(EU)など世界63の国および地域で承認されている。

 国内第3相試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が35.0%(C型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変患者)、17.6%(C型非代償性肝硬変患者)に認められている。主なものとして頭痛、発疹などがあり、重大な副作用として貧血(リバビリン併用時)、高血圧、脳血管障害を生じる可能性がある。