2018年12月21日、糖尿病治療薬イプラグリフロジン L-プロリン(商品名スーグラ錠25mg、同錠50mg)の適応および用法用量が追加された。追加された適応は「1型糖尿病」、追加された用法用量は「インスリン製剤との併用で、成人1日1回50mgを朝食前又は朝食後に投与。なお、効果不十分な場合は、経過を十分に観察しながら1日1回100mgまで増量可」となっている。

 1型糖尿病は、膵臓でインスリンを分泌するβ細胞が主に自己免疫によって破壊され、インスリンの欠乏が生じることにより発症する疾患である。日本国内での患者数は10万~14万人と推計されている。

 現在、1型糖尿病の治療は、2型糖尿病治療と比べて薬物療法の選択肢が限られている。基本治療であるインスリン療法は効果があるものの、長期的に体重増加に注意が必要なことや、インスリン投与量の増加により低血糖を来す可能性があることから、十分な血糖コントロールができていない患者が存在することが大きな問題となっていた。

 イプラグリフロジンは、患者数の多い2型糖尿病に対して近年使用頻度が高まりつつある選択的SGLT2(Sodium-Glucose Co-Transporter 2:ナトリウム依存性グルコース輸送担体2)阻害薬の1つとして、2014年4月より臨床使用されている薬剤である。

 SGLTは細胞表面に存在する膜タンパク質で、ブドウ糖の細胞内への輸送をつかさどっている。イプラグリフロジンは、腎臓近位尿細管に局在するSGLT2(SGLT2サブタイプ)を選択的に阻害することで、ブドウ糖の再取り込みを抑制し、糖の尿中排泄を促進することで血糖値を低下させる。SGLT2阻害薬は、腎臓に作用してインスリン非依存性に血糖降下作用を発揮することから、インスリンの直接作用による低血糖などの副作用が発現しにくく、相加的な血糖降下作用が期待されている。

 国内における、インスリン製剤で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象とした第3相二重盲検比較試験(対照:プラセボ)および長期継続投与試験(全臨床試験期間:52週間)において、イプラグリフロジンの有用性(インスリン製剤の1日投与量の減少、HbA1c低下作用)と安全性が確認された。

 1型糖尿病患者を対象とした国内臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が98.0%に認められている。主な副作用は低血糖(97.5%)、血中ケトン体増加(10.4%)などであり、重大な副作用として低血糖、腎盂腎炎、敗血症、脱水、ケトアシドーシスを生じる可能性がある。

 1型糖尿病患者に薬剤を使用する場合には、「あらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合に限定すること」に留意する。また、本薬はインスリン製剤の代替薬ではないので、インスリン製剤を中止すると急激な高血糖やケトアシドーシスが起こる危険性があることから、本薬投与時はインスリン製剤を中止しない。さらに、低血糖リスクを軽減するために、併用するインスリン製剤の減量を検討することも必要であり、臨床試験ではインスリン製剤の1日投与量を15%減量することが推奨されている。