2018年11月28日、口腔咽頭カンジダ症治療薬ミコナゾール口腔粘膜付着型製剤(商品名オラビ錠口腔用50mg)が薬価収載された。本薬は、9月21日に製造販売が承認されていた。用法用量は「成人に1日1回50mgを上顎歯肉(犬歯窩)に付着して使用」となっている。日本では、同有効成分の製剤として、注射剤、経口用ゲル剤、膣用坐剤および外用クリーム剤が種々の真菌症に対して既に臨床使用されている。

 口腔咽頭カンジダ症は、主に免疫機能が低下したHIV患者や癌患者などにおいて、口腔内常在菌であるカンジダ属(主にCandida albicans)によって引き起こされる日和見感染症である。舌の疼痛、灼熱感、味覚異常、嚥下困難などの自覚症状があり、白苔形成、紅斑病変、口角炎が認められている。

 口腔咽頭カンジダ症における治療は、抗真菌薬による全身療法または局所療法が行われている。このうち局所療法の一つとして、ミコナゾールの経口ゲル製剤(フロリード)が1日複数回塗布で使用されている。ミコナゾールは、真菌細胞膜の主要構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することにより、抗真菌活性を示す。また、高濃度では、細胞の壊死性変化をもたらす殺菌的作用を有する。局所療法は、全身性副作用や薬物相互作用を軽減できるとして高い有用性が評価されている一方で、ゲル製剤は塗布回数が多く、使用感も悪いと指摘されていた。

 オラビは、口腔咽頭カンジダ症に対するミコナゾール製剤として、添加物に生体付着性物質の濃縮乳タンパク質(MPC)を用いた口腔付着型の抗真菌外用製剤である。口腔粘膜に長時間付着させることができるため、ミコナゾールが口腔内に持続的に放出され、唾液中ミコナゾール濃度を長時間維持できることから、1日1回投与が可能となった。

 国内で口腔咽頭カンジダ症患者を対象とした無作為化非盲検並行群間比較試験(対照薬:ミコナゾールゲル製剤)では、投与開始15日目における病変スコアおよび症状スコアに基づく臨床効果において、既存のゲル製剤との非劣性が示された。海外では、2006年10月にフランスで承認されて以降、2018年9月現在、欧州2カ国および米国で発売されている。また、海外の診療ガイドラインでは、口腔咽頭カンジダ症の治療薬として使用が推奨されている。

 国内の臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が29.0%認められている。主な副作用は味覚異常(8.1%)、適用部位不快感(4.8%)、腹部不快感、悪心(各3.2%)などであった。

 薬剤使用に際しては、本薬は口腔粘膜に付着して用いる錠剤であるため、そのまま飲み込んだり、なめたり、かみ砕いたりせずに使用することを、患者に十分理解させることが必要である。また、投与期間は原則として14日間である。