2018年12月3日、抗悪性腫瘍薬ギルテリチニブフマル酸塩(商品名ゾスパタ錠40mg)が発売された。本薬は、9月21日に製造販売が承認、11月20日に薬価収載されていた。適応は「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」、用法用量は「成人に1日1回120mg。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回200mgを超えないこと。また、副作用の発現状況により休薬、減量又は中止する(添付文書を参照)」となっている。

 急性骨髄性白血病AML)は、分化・成熟能が障害された幼若骨髄系細胞のクローナルな自律性増殖を特徴とする、多様性に富む血液腫瘍である。骨髄において白血病細胞が異常に増殖する結果、正常な造血機能が阻害され、白血球減少、貧血、血小板減少に伴う様々な症状を呈する。適切な治療がなされない場合には、感染症や出血により致死的となる重篤な疾患である。

 AMLの治療法としては、強力な化学療法としてアントラサイクリン系薬とシタラビン(キロサイド他)などの多剤併用療法を用いた寛解導入療法と寛解導入後療法が中心となっている。また、化学療法で良好な長期予後が得られない場合には、同種造血幹細胞移植が適応となる。

 AMLは、特定の遺伝的要因によって患者の転帰が悪化する傾向がある。中でも、クラス3受容体チロシンキナーゼの1つであるFMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)の遺伝子変異は、予後不良の白血病のサブタイプとして知られている。FLT3活性化変異はAML患者の約1/3で認められ、遺伝子内縦列重複(ITD)変異とチロシンキナーゼドメイン(TKD)変異が多く報告されている。

 ギルテリニチブは既存の薬剤とは異なる、新しい作用機序を有する薬剤である。ITDやTKD変異といった活性化変異を有するFLT3などのチロシンキナーゼに対する阻害作用を示し、FLT3を介したシグナル伝達を阻害することでFLT3遺伝子変異を有する腫瘍の増殖を抑制する、世界初となるFLT3阻害薬である。初回再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者を対象とした国際共同第3相臨床試験(ADMIRAL試験)では、ギルテリチニブの有効性と安全性が確認された。

 日本では、2015年10月に先駆け審査指定制度の対象品目、2018年3月に希少疾病用医薬品に指定されていた。海外では、2018年11月に米国で承認されている。

 副作用(臨床検査値異常を含む)が82.7%に認められている。主な副作用はALT(GPT) 増加(27.4%)、AST(GOT) 増加(24.4%)、貧血(17.9%)、発熱性好中球減少症(15.5%)などがある。重大な副作用として骨髄抑制、感染症、出血、QT間隔延長、心膜炎、心不全、心嚢液貯留、肝機能障害、腎障害、消化管穿孔、間質性肺疾患、過敏症、可逆性後白質脳症症候群が報告されている。

 薬剤使用に際しては、事前に体外診断薬を用いたFLT3遺伝子変異検査を行い、FLT3遺伝子変異陽性であることを確認する必要がある。