2018年11月27日、抗悪性腫瘍薬ブリナツモマブ(商品名ビーリンサイト点滴静注用35μg)が発売された。本薬は、9月21日製造販売が承認され、11月20日に薬価収載されていた。適応は「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」、用法用量は「下記の投与量を28日間持続点滴静注後、14日間休薬。これを1サイクルとして、最大5サイクル繰り返す。その後、下記の投与量を28日間持続点滴静注後、56日間休薬。これを1サイクルとして、最大4サイクル繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量。
体重45kg以上:1日9μg(1サイクル目の1〜7日)、1日28μg(それ以降)。
体重45kg未満:1日5μg/屐1サイクル目の1〜7日)、1目15μg/屐覆修谿聞漾法ただし、体重45kg以上の場合の投与量を超えないこと」となっている。

 リンパ系腫瘍の白血病には、急性リンパ性白血病ALL)と慢性リンパ性白血病(CLL)があり、ALLは造血幹細胞に近いリンパ前駆細胞の腫瘍、CLLは成熟リンパ球の腫瘍である。また、リンパ系腫瘍は正常リンパ系細胞の分化段階と対応するために、B細胞系、T細胞系、およびNK(natural killer)細胞系に分類されている。ALLでは、B細胞性ALL(B-ALL)が全体の約80%を占めるとされている。

 ALLに関しては多剤併用療法の寛解導入療法により、80%以上は寛解するものの、半数以上の患者は再発し、20%弱は初回治療に抵抗を示す。このような再発または難治性ALLの予後は不良であり、長期生存を目指すサルベージ療法による寛解率は30〜50%程度とされる。第2寛解期以降で長期生存が望める治療法の1つは造血幹細胞移植(HSCT)で、良好な治療成績を得るには、HSCT施行前に微小残存病変(MRD)陰性を達成することが重要である。しかし、再発または難治性ALLに対する標準的サルベージ療法は確立されておらず、複数のサルベージ療法が用いられているものの、それらの治療レジメンによる寛解率は低く、多くの患者が長期生存できていないのが現状である。

 ブリナツモマブは、B細胞上に発現するCD19とT細胞上に発現するCD3の両方に特異性を持つ、世界初となる二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体。CD3とCD19に結合し、B-ALL細胞とT細胞を架橋することでT細胞を活性化することにより抗腫瘍効果を発揮する免疫療法薬である。

 再発または難治性のB-ALL患者を対象とし、既存の標準化学療法との比較試験も含めて行われた国内外の複数の臨床試験において、本薬の有意に高い血液学的完全寛解率、全生存期間の延長などが示された。

 海外では、米国およびEUを含む50以上の国や地域で承認されており(2018年11月現在)、日本では2017年9月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 国内外の臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が症例の大部分に認められている。主なものはサイトカイン放出症候群や発熱、好中球減少、血小板減少、肝酵素上昇、腰痛、頭痛など。重大な副作用として脳神経障害や脳症などの神経学的事象、サイトメガロウイルス感染や肺炎、敗血症などの感染症、サイトカイン放出症候群、腫瘍崩壊症候群などがあり、こうした副作用が認められた場合には投与中止や中断、用量調節を行うとともに、投与を再開する場合は添付文書に書かれた方法を参考にする。また、サイトカイン放出症候群の可能性があるため、投与前および増量前にはデキサメタゾンを投与することとなっている。