2018年11月20日、血液凝固第VIII因子製剤ダモクトコグ アルファ ペゴル(商品名ジビイ静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000)が薬価収載された。本薬は、9月21日に製造販売が承認されていた。

 製剤としては、各薬剤含有量に添付溶解液(注射用水)2.5mL付きのプレフィルドシリンジである。適応は「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」、用法用量は「12歳以上の患者に、1回10〜30国際単位/kgを2.5mL/分を超えない速度で緩徐に静注」となっている(定期的に投与する場合の詳細な用法用量は添付文書を参照)。

 血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏症)は、血液凝固第VIII因子(FVIII)の機能的欠損を特徴とするX染色体連鎖劣性遺伝性の出血性疾患であり、主に男性に発症する。正常な血液凝固能が障害されることで出血を繰り返し、出血が長時間続くこともある。出血に伴う合併症は、関節の重度の腫れや痛み、関節障害、それによる身体障害であり、致死的な出血を引き起こす危険性もある。血友病は全世界で約40万人が罹患している。このうち血友病Aは最も多いタイプの血友病で、日本では約5000人が罹患している。

 血友病Aの治療としては、FVIII因子製剤による補充療法(定期的、出血時または周術期の投与)が標準的治療法とされており、ルリオクトコグ アルファ(アドベイト)、オクトコグ アルファ(コージネイトFS)、オクトコグ ベータ(コバールトリイ)などが世界中で広く臨床使用されている。また近年、定期的にFVIII因子製剤を投与することで微小出血を抑制し予後を改善する定期補充療法が広がっている。血中半減期を延長させて患者利便性を向上させた製剤が登場しており、ペグ化製剤ルリオクトコグ アルファ ぺゴル(アディノベイト)やエフラロクトコグ アルファ(イロクテイト) 、ロノクトコグ アルファ(エイフスチラ)などがある。さらに、第IX因子と第X因子の両方に結合する作用を持たせた抗体医薬であるエミシズマブ(ヘムライブラ)も登場し、予後や利便性の改善が進んでいる。

 ジビイは、分枝型ポリエチレングリコール(PEG)が部位特異的に結合した、ペグ化遺伝子組換えヒト血液凝固第VIII因子製剤である。ペグ化により、非修飾型のFVIII因子よりも血漿中消失半減期を延長させ、投与頻度を減らすことが可能となった。

 既治療の重症血友病A患者を対象とした海外第1相臨床試験(対照薬:コージネイトFS)では、コージネイトFSと比べて血中FVIII活性―時間曲線下面積(AUC)が増加した。また、血漿中クリアランスが低下することで、消失半減期が延長することが確認された。さらに、既治療の重症血友病A患者(12〜65歳)を対象とした国際共同第2/3相臨床試験の主試験および継続投与期間において、週1回(7日毎)、5日毎、または週2回の定期補充療法、ならびに出血時補充療法での有効性および安全性が確認された。海外では、2018年8月に米国で承認され、2018年9月現在、欧州連合(EU)で承認申請中である。

 薬剤使用に際しては、日本人患者を含む国際共同試験において11.2%に副作用が認められている。主な副作用として頭痛、関節痛、ALT(GPT)上昇(各1.5%)などがあり、重大な副作用としてはショック、アナフィラキシーを生じる可能性があることに十分注意する必要がある。