2018年9月21日、抗悪性腫瘍薬ロルラチニブ(商品名ローブレナ錠25mg、同錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「ALKチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、用法用量は「1日1回100mgを経口投与。患者の状態により適宜減量。副作用が発現した場合には状況により休薬・減量・中止する(詳細は添付文書参照)」となっている。

 肺癌のうち約85%は非小細胞肺癌NSCLC)とされている。このうち75%は診断された時点で進行または転移が認められ、5年生存率はわずか10%前後とされている。

 NSCLCの中には、発症に微小管会合蛋白の一種であるEML4と未分化リンパ腫キナーゼALKとの融合遺伝子(EML4-ALK)が深く関与していることが、日本人の研究者から報告された。EML4-ALK融合遺伝子から産生されるEML4-ALK融合蛋白は、内在するチロシンキナーゼが恒常的に活性化することで、強力な癌化能を有する。これまでの調査では、NSCLCの3〜5%程度がALK融合遺伝子陽性と推定されている。

 近年、ALK融合蛋白を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬、クリゾチニブ(ザーコリ)、アレクチニブ(アレセンサ)、セリチニブ(ジカディア)が承認・臨床使用されている。これら既存のALK阻害薬により予後改善が進んできたが、これらの薬剤に不耐容な症例や、効果不十分な症例、一旦効果があったものの腫瘍が耐性を獲得してしまい増悪する症例が少なくない。

 ロルラチニブは、既存のクリゾチニブなどと同様に、ALKのリン酸化を阻害することによって癌細胞の増殖を抑制する、強力かつ選択的なALK阻害薬である。日本人患者を含む、既存のALK阻害薬による前治療歴を有するALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発NSCLC患者を対象とした国際共同第1/2相臨床試験では、ロルラチニブの良好な抗腫瘍効果と忍容性が認められた。ロルラチニブは、2017年に導入された「医薬品の条件付き早期承認制度」が適用され、優先審査の対象として世界各国に先駆けて今回の承認に至っている。

 承認時までの臨床試験から、94.9%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用として高コレステロール血症(81.5%)、高トリグセリド血症(60.4%)、浮腫(43.3%)、末梢性ニューロパチー(29.8%)などであり、重大な副作用は間質性肺疾患(0.7%)、QT間隔延長(6.5%)、中枢神経系障害(29.8%)、膵炎(9.5%)、肝機能障害(12.7%)が報告されている。