2018年9月21日、過活動膀胱治療薬ビベグロン(商品名ベオーバ錠50mg)の製造販売が承認された。適応は「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」であり、用法用量は「1日1回50mgを食後投与」となっている。

 近年、人口の高齢化に伴い、QOLへの影響が大きい泌尿器科領域の疾患の中でも代表的なものとして、尿失禁などの下部尿路機能障害LUTD)が社会的に大きくクローズアップされている。LUTDの大きな原因として、加齢や神経疾患などによる過活動膀胱OAB)が考えられており、蓄尿障害によって尿意切迫感や切迫性尿失禁などを生じることで、患者のQOLは著しく低下する。日本では、OABの有症状率は加齢とともに上昇する傾向が認められており、今後のさらなる高齢化の進展でOAB患者が増加することが懸念されている。

 OABは、潜在的な排尿筋過活動状態に起因していると考えられており、治療薬として膀胱収縮抑制作用を有するムスカリン受容体拮抗薬が広く臨床使用されている。ムスカリン受容体拮抗薬としては、プロピベリン塩酸塩(バップフォーなど)、コハク酸ソリフェナシン(ベシケア)、酒石酸トルテロジン(デトルシトール)、イミダフェナシン(ウリトスステーブラ)などである。

 しかし、ムスカリン受容体が膀胱以外の唾液腺、腸管、毛様体などにも存在することから、これらの薬剤は口腔内乾燥、便秘、霧視などの副作用や、膀胱での排尿困難、残尿量の増加、尿閉などの新たな副作用の発現が懸念されていた。これらのことから、2011年9月以降、新たなOAB治療薬として選択的β3アドレナリン受容体作動薬ミラベグロン(ベタニス)が臨床使用されている。

 ビベグロンは、ミラベグロンに次ぐ選択的β3アドレナリン受容体作動薬である。膀胱のβ3アドレナリン受容体に選択的に作用することで膀胱弛緩作用を示し、蓄尿機能を亢進させる一方で、排尿機能には影響を及ぼしにくいという特徴を有している。また、類薬ミラベグロンと比較して、「生殖可能な年齢の患者には投与をできる限り避ける」という注意喚起(警告)がないことや、薬物相互作用が少なく併用禁忌薬がないことも特徴といえる。

 ビベグロンの承認時までのOAB患者を対象としたプラセボとの二重盲検比較対照試験(国内第3相比較試験)と52週間投与の長期投与試験(国内第3相長期投与試験)において、ビベグロンの有効性と安全性が確認された。

 薬剤使用に際しては、承認時までの臨床試験で副作用(臨床検査値異常を含む)が8.3%認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用は口腔内乾燥、便秘(各1.2%)、膀胱炎などの尿路感染、残尿量増加(各0.7%)、肝機能異常、CK(CPK)上昇(各0.3%)などが報告されており、重大なものとしては尿閉を生じる可能性がある。