2018年9月21日、2型糖尿病治療薬エンパグリフロジン/リナグリプチン(商品名トラディアンス配合錠AP、同配合錠BP)の製造販売が承認された。本薬(AP1錠中:エンパグリフロジン10mg+リナグリプチン5mg、BP1錠中:エンパグリフロジン25mg+リナグリプチン5mg)の適応は「エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断された2型糖尿病」、用法用量は「1日1回1錠、朝食前または朝食後に投与」となっている。

 2型糖尿病治療では、第一選択薬としてジペプチジルペプチダーゼ‐4(DPP-4)阻害薬やビグアナイド(BG)系薬、スルホニル尿素(SU)薬などの経口血糖降下薬の単独投与が行われており、さらに単独投与で血糖コントロールが不十分な場合には、増量または作用機序の異なる薬剤の併用療法が推奨されている。近年、盛んに開発・承認されてきた配合製剤は、服薬する薬剤の種類、錠数および服用回数を減少できることなど、患者サイドにとっても大きな利点がある。

 現在、配合製剤としては、チアゾリン誘導体ピオグリタゾン(アクトス他)とDPP-4阻害薬アログリプチン(ネシーナ)との配合製剤(リオベル)、ピオグリタゾンとSU薬グリメピリド(アマリール他)との配合製剤(ソニアス)、ピオグリタゾンとBG系薬メトホルミン(メトグルコ他)との配合製剤(商品名メタクト)、速効型インスリン分泌促進薬ミチグリニド(グルファスト)とαグルコシダーゼ阻害薬ボグリボース(ベイスン他)との配合製剤(グルベス)、DPP-4阻害薬ビルダグリプチン(エクア)とBG系薬メトホルミンとの配合製剤(エクメット)、DPP-4阻害薬アログリプチンとBG系薬メトホルミンとの配合製剤(イニシンク)、DPP-4阻害薬テネリグリプチン(テネリア)とナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬カナグリフロジン(カナグル)との配合製剤(カナリア)、DPP-4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビアグラクティブ)とSGLT2阻害薬イプラグリフロジン(スーグラ)の配合製剤(スージャヌ)が臨床使用されている。

 トラディアンスは、インスリン分泌促進作用とグルカゴン分泌抑制作用を有し、主に糞中に未変化体のまま排泄される胆汁排泄型のDPP-4阻害薬リナグリプチン(トラゼンタ)と、尿糖排泄促進作用のあるSGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス)という、異なる作用機序による血糖降下作用を有する配合製剤である。 同じ作用機序を有する配合製剤としては、カナリア、スージャヌに次ぐ薬剤となっている。

 本薬は、二重盲検比較試験および長期継続投与試験(対象:食事療法と運動療法に加えて、リナグリプチンまたはエンパグリフロジン単独投与で効果不十分な患者)において本薬の良好な血糖コントロール、さらにAP製剤で効果不十分な患者でのBP製剤への切り替えで更なる有効性が確認された。

 国内臨床試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が20.5%認められている。主なものとして血中ケトン体増加(6.4%)、無症候性細菌尿(2.7%)、膀胱炎(1.5%)などがある。重大な副作用としては、リナグリプチンおよびエンパグリフロジン単独時にも認められている低血糖、脱水、ケトアシドーシス、腎盂腎炎、敗血症、腸閉塞、肝機能障害、類天疱瘡、間質性肺炎、急性膵炎を生じる可能性がある。